2011年3月2日(水)「しんぶん赤旗」

嘉手納基地の米軍パラシュート訓練

アフガン、イラク作戦に直結


 沖縄の米空軍嘉手納基地で2月16日、県や周辺自治体の中止要請を無視して強行されたパラシュート降下訓練は、アフガニスタンやイラクでの特殊作戦に直結していることが判明しました。(榎本好孝)


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(写真)嘉手納基地で強行されたパラシュート訓練=2月16日(日本共産党の田仲康栄嘉手納町議撮影)

 沖縄防衛局から沖縄県基地対策課への通知によると、訓練を行ったのは、嘉手納基地の「第353特殊作戦群のMC130特殊作戦機」と「第18航空団と第353特殊作戦群の兵士6人」です。

敵地潜入が任務

 嘉手納基地報道部はこのほど、本紙の問い合わせに対し「パラシュート要員がいるのは(第353特殊作戦群では)第320特殊戦術中隊、(第18航空団では)第31救難中隊だけ」だと回答。両中隊に所属する兵士計6人が訓練を行ったことが明らかになりました。

 現地での監視行動によると、使用されたMC130特殊作戦機は、H型で「コンバットタロン(たたかう猛鳥のかぎ爪)II」と呼ばれる機種でした。

 第353特殊作戦群に関する米空軍の説明資料(ファクト・シート)によると、コンバットタロンIIは、接近困難な敵地に特殊部隊を潜入させるため、夜間、悪天候をついてひそかに着陸したり、敵の背後にパラシュートで降下させたりするのが主な任務。「アフガニスタンやイラクにクルー(乗組員)を絶えず派遣している」としています。

 また、第320特殊戦術中隊には、▽敵地にパラシュートで潜入し、味方機の着陸地帯を確保するとともに、航空管制を行う「戦闘管制官」▽戦場で負傷兵の捜索・救助・退避を行う「パラシュート救難隊員」―などが所属。イラク戦争の始まった2003年以来、これら兵士をアフガンやイラクに継続的に派遣しているとしています。

 第31救難中隊もパラシュート降下による救難活動が主な任務で、イラクに繰り返し派遣されています。

低空飛行訓練も

 コンバットタロンIIは、鹿児島や徳島、愛媛などで、危険な低空飛行訓練も繰り返しています。

 前出の米空軍の説明資料によると、コンバットタロンIIを運用するのは、第353特殊作戦群の第1特殊作戦飛行中隊。同中隊のクルーは03年3月のイラク戦争開戦時、同機に陸軍特殊部隊を乗せて、激しい対空砲火を浴びながら、高度250フィート(約75メートル)を700マイル(約1120キロ)飛行したとしています。

 日本での低空飛行訓練も、こうした「日本防衛」とは無縁な軍事作戦のために行われているとみられます。


 沖縄での米軍パラシュート降下訓練 かつては読谷補助飛行場(読谷村)で行われていましたが、落下物などによる事故が続発。1996年のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告で伊江島補助飛行場(伊江村)への移転を決めました。以後、通常は同飛行場で行われていますが、日本政府は「例外措置」などとして嘉手納基地での実施も容認。同基地での実施は4年ぶりでした。





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