2011年3月1日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 第五福竜丸元乗組員の大石又七さんは学校でビキニ事件のことを話す機会が多いそうです。「生徒は非常に怖がる、どうしたら(核兵器を)なくすことができるかと、真剣に考える」▼週末、大石さんの話を聞きました。57年前のきょう、マグロ漁船の第五福竜丸は、中部太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験に遭遇しました。話はその瞬間の被ばく体験と証言活動についてでした▼空いっぱいの光、しばらくして海の底から突き上げるような地鳴り。そして水平線に見えた入道雲を重ねた巨大な雲が、風上にいる自分たちに向かって急速に覆いかぶさって…。「『何だろう』と、自然災害を想像した」▼甲板上には「足跡」が残るくらいに大量に降り注ぐ白い粉。放射能まみれの「死の灰」は船員の体をむしばみました。乗組員23人のうち、これまで14人が亡くなっています。「私も発病し、病気を今も引きずっています」と、1日三十数種類の薬を飲んで命をつなぐ日々だといいます▼著書の年譜を見ると、学校での「講話」は1984年からとあります(『これだけは伝えておきたい ビキニ事件の表と裏』)。「黙っていれば、何事もなかったように忘れられる」といい、「仲間の恨みが体中に充満し」「伝えたいことは山ほどある」▼大石さんは1月に喜寿を迎えたといい、こう話していました。「余命もそんなにありません。命が続く限りは、この問題に取り組んで、子どもたちに伝えていこうと思っています」





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