2011年2月27日(日)「しんぶん赤旗」
TPP推進 開国フォーラム配布資料
根拠がたがた “農産品関税率 すでに10%以下”
狙いみえみえ “海外進出の企業利益を守る”
環太平洋連携協定(TPP)参加へ突き進む民主党政府は26日、さいたま市で地方説明会(「開国フォーラム」)を開いたのを皮切りに全国9カ所で「開国フォーラム」を開催します。会場で配布された政府資料からは、TPP推進論拠はガタガタ、参加の狙いだけがはっきりしてきました。
TPP推進勢力は「TPP参加で農業を再生する」ことを論拠に挙げます。
ところが政府が配布した資料は「貿易自由化にかかわらず、農林漁業再生は待ったなし」としています。関税ゼロで「究極の自由貿易」を推進するTPPへの参加と、日本の農業再生は関係がないことを認めています。
また、菅政権は日本を「鎖国」状態のようにいいます。
しかし政府資料は、「日本は世界に先駆けて関税を引き下げ。鉱工業品については、最も低い水準」「我が国の多くの農産品は関税率10%以下」と記しています。すでに十分すぎるほどに「開国」されていることを示しています。
これまで自民党政権下で農産物は次々と自由化され、日本の食料自給率は40%にまで落ち込みました。「食料自給率の向上」こそ国民の願いです。
「地域や企業がアジア太平洋と直接つながる」「日本企業の海外での利益を守る」―。
政府配布資料は、TPPが大企業の利益拡大を第一に置いていることを示しています。
外需依存型の経済で恩恵を受けるのはごく一部の輸出大企業。それが国民の生活向上につながらず、逆に経済成長を停滞させたことは証明済みなのに、なおしがみついています。
「国を開く」ための施策として、資料は法人実効税率の引き下げも強調します。「国内経済の活性化を図る。同時に、海外の活力を呼び込む」と宣伝します。
資料はまた、「米国はTPPに関心を集中」「(TPPは)米国を含むアジア太平洋の成長を取り込む枠組みとなる可能性」と米国主導を強調します。
資料には現在TPP参加交渉中の9カ国と日本の貿易量が出ています。9カ国中、日本の輸入の4割、輸出の6割は米国です。日本のTPP諸国に対する直接投資の約8割は米国向け。「環太平洋連携」といっても日本にとって実質的に米国との通商協定であることが明らかです。
TPPは、アメリカ主導によるアジア太平洋地域の経済統合であり、日本の農業や国民の暮らしと営業の犠牲のうえに、日米の大企業の利益を図るものであることが、政府資料からも浮き彫りになりました。
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