2011年2月25日(金)「しんぶん赤旗」
「子ども手当」法案
高橋議員の質問
衆院本会議
24日の衆院本会議で趣旨説明が行われた2011年度「子ども手当」法案に対して、日本共産党の高橋ちづ子議員が行った質問は次の通りです。
貧困と格差の拡大が子育て世代に深刻な打撃を与えています。日本は、先進諸国で子どもに関する予算が極端に低く、支援策の拡充はまったなしです。
日本共産党は、子育てのための現金給付と保育所の増設など子育ての土台の整備を「車の両輪」ですすめることが重要であると主張してきました。現金給付は、児童手当の支給年齢と支給額の拡充を求めてきた立場から、昨年の子ども手当法案に賛成しました。
しかし、昨年は2010年度限りで、財源や地方負担のあり方など制度の根幹を先送りしたものでした。日本共産党はこれまで、理念や目的があいまいでわかりにくく、控除の廃止・縮減による増税が抱き合わせで、消費税増税が懸念されること、基盤整備の方向性がみえないことなどを指摘してきました。
今回の法案は、こうした課題を積み残しにした単年度限りの法案となっており、国民の理解が得られないのではないでしょうか。
3歳未満に限って7000円の上乗せをするのは、年少扶養控除の廃止に伴う増税と差し引きで負担増にならないようにするつじつま合わせではありませんか。
財源の裏づけのないまま、「2万6千円」だけが打ち出され、結局、その場しのぎの法案を出す。これが混迷を深めた最大の原因です。日本共産党は、来年度予算については、子ども手当の上乗せ分は保育所増設など総合的な子育て予算にまわす組み替えを提案しています。上乗せするよりも、安定的な制度をつくることを最優先にすべきだと考え、そうした立場で修正案を準備しています。
子ども手当の財源について消費税を充てるとの発言が相次いだことは見過ごせません。「税と社会保障の一体改革」で消費税を社会保障の目的税とし、対象に「子育て」も含まれるというものです。子育て支援策の充実は増税次第ですか。増税つき手当や子育てサービスでは結局、子育て世代に負担をかぶせることになるのではありませんか。
財源を生み出すために、所得税・住民税の控除の廃止・縮減が決められ、今年1月から年少扶養控除が廃止され特定扶養控除が縮減されています。これらの増税に伴い、保育料や公営家賃など41の制度に波及させない対策をとるべきです。
地方自治体は特色を生かした独自施策を行っていますが、手当が支給されるならと、子どもの医療費無料化を見直したり、自治体独自サービスが後退しています。就学援助は「三位一体改革」で縮小されましたが、今回も就学援助の絞り込みがあったのではありませんか。自治体の独自制度の多くは低所得者世帯への支援策としてとりくまれています。子ども手当の趣旨は、そういう独自のサービスと並びたってこそ生かされるものです。
保育料を手当から直接徴収できる規定が設けられたことは重大です。そもそも保育料が高すぎて払えないという声が非常に多くあります。国が定める基準徴収額が高すぎるため各市町村は国基準の6割から7割程度に定めています。天引きされて手元に残る家庭がどれだけありますか。
保育料は前年度収入で算定するためリストラや廃業で収入が減っても考慮されません。減免などの対応が必要であり、直接徴収はこうした行政のかかわりをなくしてしまうものです。少なくとも本人の同意に基づく規定に改めるべきです。「学校給食費等」の範囲について教材費や修学旅行費も含めるといわれています。マニフェストでは「給食の無料化」をうたっていたはずです。学校給食などを含め義務教育は完全無償化にすべきです。
子ども手当は、「子ども・子育て新システム」の中に位置づけられています。日本共産党は、保育を市場化し「福祉も自己責任」と変質させる同システムには反対です。やるべきことは待機児童解消のために国の責任で認可保育所を増設すること、子どもの貧困の解消、子どもの医療費無料化、仕事と子育ての両立支援など子育てがしやすい社会をめざし力をつくすことです。