2011年2月25日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
車窓に流れる街の風景を眺めていて、遅まきながら気づきました。神田川にしだれるヤナギが、もう芽吹いています▼枝々を包み込む新芽たちの、うっすらと輪郭も定かでない萌黄(もえぎ)色。ところどころに、一足先に育った葉っぱの浅緑色が散らばり、濃淡をつけます。毎年、ヤナギの芽吹きをみるたびに「春浅し」という言葉がうかんできます▼秋は「深し」です。初秋を「秋浅し」とは、あまり聞きません。夏や冬の場合、「浅し」や「深し」という言葉になじみが薄い季節でしょう。「浅し」は春にぴったりで、「春深し」という人は少ない▼春まだ早い、時間の浅さ。ようやく春を彩り始めた、自然の色の浅さ。「春に限って『浅し』といった日本人の季節感覚はすばらしい」といったのは、国語学者の金田一春彦でした。三寒四温の中で、大地からしだいに満ちてくる生命の力。「春浅し」は、その響きに耳をすましながら、春爛漫(らんまん)のときを待ちこがれるようなおもむきも感じられる言葉です▼さて、ことしの日本の春は、政治の季節です。風雲急を告げる政局。いっせい地方選挙。すでに、東京でも大阪でも大演説会が開かれました。いっせい地方選挙本番のとりくみが始まっています。東京から、大阪から、全国津々浦々から、日本を変えるたたかいです▼政治の季節をどう彩るかは、私たちの力の出しぐあいにかかります。東京の大演説会に参加し、思いを新たにしました。自然の春爛漫に負けないような、晴れやかな結果を出したい、と。