2011年2月24日(木)「しんぶん赤旗」
日本トムソン正社員化訴訟
違法派遣に慰謝料
正社員化認めず
神戸地裁
ベアリングメーカー、日本トムソンの姫路工場で、違法派遣で働かされ、その後、2009年4月から9月末までの期間社員となり解雇された労働者9人が、日本トムソンに正社員化を求めた訴訟の判決が23日、神戸地裁姫路支部でありました。中村隆次裁判長は、原告の訴えを一部認め、1人50万円の慰謝料を支払うよう命じましたが、正社員としての地位確認は棄却しました。
原告側弁護士は、「採用面接があり、賃金の一部を直接負担していた。偽装出向があった。そういう事案の相違を無視して結論だけを最高裁判決に追随した腰の引けた判決だ」と話しています。
判決によると、労働の実態や労働局の是正指導があったことなどを指摘し、最長5年にわたり違法な派遣労働で就労させたことは重大として、慰謝料の支払いを命じました。
しかし、採用の関与や賃金・諸手当の決定はなかったとして、「黙示の労働契約」の成立を認めず、雇いどめは有効としました。
原告の男性(32)は「違法状態で働かされていた期間が50万円ですまされることに怒りを覚えた」といい、別の男性(37)は「これであきらめたら後に続く人たちに顔向けができない。これからもがんばっていきたい」と語りました。
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