2011年2月24日(木)「しんぶん赤旗」
都の土地信託「健康プラザ」
銀行165億円 利息大もうけ
都の配当は10億なのに
|
東京都が都有地の運用を信託銀行に委ねた土地信託事業「東京都健康プラザ」(新宿区歌舞伎町)で、都が20年間に受け取る信託配当が当初計画のわずか0・6%の10億円にとどまる一方、信託銀行などが受ける利息は計画の約2倍の165億円に膨れ上がることが23日、本紙が情報公開請求し都から入手した文書で明らかになりました。
都健康プラザは、都立大久保病院の改築と合わせ、1993年に完成した賃貸業務複合ビル。契約終了後(2013年4月)には土地と建物を都に返還する契約です。
文書は、兵庫県が都にあてた「公有地信託事業の状況調査」への都病院経営本部の回答(09年7月)。
文書によると、健康プラザの信託契約期間の20年間に銀行が受け取る利息総額は約165億円で、当初計画(約84億円)の1・96倍に増えるほか、信託報酬約7億円を受ける予定です。一方、都が20年間に受ける信託配当は約10億円で、当初計画(約1681億円)の0・59%にすぎません。(表)
都病院経営本部は、「当初の計画では借入金は195億円だったが、438億円に増えた。バブル崩壊後にビルが完成しテナント入居の敷金収入が減ったことと、ビルの設計変更で事業費が483億円に膨らんだため」と説明しています。
同事業を受託した2信託銀行は自行だけで資金調達できず、日本政策投資銀行からも年4%台の高金利で借り入れていますが、都は詳しい内容を明らかにしていません。
本紙は、信託銀行に質問状を送付しましたが、いずれも「個別取引に関することであり、お答えできません」(三菱UFJ信託銀行)、「個別の取引に関することであり、お答えできません」(住友信託銀行)と、説明を拒否しています。
土地信託事業 土地の所有者が信託銀行に土地を預け、建物の建設や資金調達、賃貸を任せ、地代の代わりに収益の一部を信託配当として所有者に還元する制度。86年の地方自治法「改正」で国や地方自治体への適用が認められ、東京都の新宿モノリスが第1号。
|
■関連キーワード