2011年2月24日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 「死にそうになっても、ひとりでも友だちがいるのは、いいものだよ」。童話の『星の王子さま』で、王子が「ぼく」にいいます▼操縦していた飛行機が故障し、広いひろい砂漠にひとりぽっちの「ぼく」。出会ったのが、地球にやってきてキツネと友だちになったという星の王子さま。「リビア」と聞いて、『星の王子さま』を思い起こす人も多いのでは?▼世界中で読み継がれている童話は、作者サン=テグジュペリ自身の体験ぬきに語れません。操縦していた飛行機が落ち、彼は友人と2人でリビアの砂漠をさまよいました。アラブの遊牧民に助けられます。死にそうになっても、友だちはいたのです▼さて、いまリビアの民衆は、暴力とたたかい指導者に歯向かっています。ムアンマル・カダフィ氏。1969年にクーデターで王制を倒したのち、ずっと実権を握ってきました。豊かな石油収入を国民に分配して治めている、とも伝えられてきました。しかし、強権をふるうやり方に、民衆の堪忍袋の緒が切れました▼星の王子は、地球へ来る前、いくつかの星を訪ねます。すべてを支配するといい、なんでも命令したがる王さまの星。ほめる言葉でないと耳に入らない「うぬぼれ男」の星。童話の登場人物が、現実のさまざまな権力者と重なります▼戦闘機やヘリコプターから空爆してまで反政府デモを弾圧し、「死ぬまで辞めない」と強気のカダフィ氏。しかし、治安を担当する大臣も政権を離れ、もはや友だちはいないようです。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp