2011年2月23日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
取材の帰り、行きつけの店で軽食を食べていました。常連客らしい人が駆け込んできて、いいました。「地震で大変なことになっている」▼店主がテレビをつける。ニュージーランドでした。南島の町クライストチャーチ。無残に崩れ落ちた建物。語学研修で訪れている富山外国語専門学校の生徒十数人が建物に取り残され、安否が確かめられていない…▼あのニュージーランドで震災? 調べてみると、ニュージーランドあたりは、地震活動の活発な地域でした。オーストラリア・プレート(岩板)と太平洋プレートが、ぶつかり押し合っています▼地図を開くと、地震の活動域は、ニューギニアからソロモン諸島をへてほぼ南東へ。バヌアツの東のトンガあたりで南へ向かい、ニュージーランドを縦断し、南極海へ。20世紀以降、ほぼ2年に1回に近い割合でマグニチュード7・8以上の地震が発生しています▼ニュージーランドでも、6回を数えます。しかし、国立天文台が編む『理科年表』にも、震災の記録はあまり載っていません。人口が少ないため、知られてこなかったそうです。しかし、いまは都市化がすすみ、外国との人の行き来も多い。世界中から観光客が、風光明媚(めいび)な南島をめざします▼突然の震災の知らせに、つくづく思います。人間、いつ、どこで、どんな地球の変動にであうか分からない、と。まだ助け出されていない人々、期待に胸はずませていた富山外国語専門学校のみなさん、最後の1人まで無事でありますように。