2011年2月22日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
近所の女の子が、ピカピカのランドセルを背負って見せてくれました。もうすぐ1年生。「早く小学校に行きたい」と話す笑顔を見ていると、こちらまでうれしくなります▼同時に、こんな話を思い出しました。ある小学校で4月の新学期に2クラス増えたけれども、先生が見つからず、入学式で担任を発表できなかった…。期待に胸をふくらませて入学した子どもたちや保護者は、どんなに不安だったでしょうか▼各地の小中学校で、「先生が足りなくて教育に穴が開く」という事態が起きています。国の制度改悪によって、正規教員よりも人件費が安い臨時教員の配置が広がりました。待機状態の臨時教員が足りなくなり、病休や産休の代替教員が見つからないのです▼身分が不安定な臨時教員。雇用期間は長くても1年です。この時期には「4月からも教壇に立てるか不安」「やっと生徒と信頼関係がつくれたのに、また異動になる…」など悩みがつのります▼正規でも臨時でも、子どもや親にとっては大切な先生です。あるお母さんは「子どもたちに慕われ、親に信頼される先生が、どうして正規採用されないの? 新しい学年でも担任をしてほしかったのに」と不満を訴えます▼臨時教員を10年以上続けてきた先生が、「自分が安心して教壇に立てなければ、子どもたちにも本当の安心感を与えられないのではないか」と話していました。「安上がり」の教育をすすめる政府の悪影響を受けるのは、先生だけでなく、一番は子どもたちです。