2011年2月21日(月)「しんぶん赤旗」
貧困ビジネス
73%「転居したい」
弁護士らシンポ 調査を報告
|
貧困ビジネス対策全国連絡会(代表・山田壮志郎日本福祉大学准教授)は20日、東京都千代田区の上智大学で、「貧困ビジネス被害からの救済を!〜公的責任の追及と消費者保護規定の活用〜」と題するシンポジウムを開き、約150人が集まりました。
山田代表が、昨年10・11月に実施した無料低額宿泊所の入所者・元入所者に対する聞き取り調査(有効回答数138人)について報告しました。調査では、53・6%が福祉事務所から紹介されて入所したと回答。72・6%が宿泊所の食事が「まずい」など食事内容に不満を持ち、個室が44・5%にすぎないとしています。現入所者の73・2%が「すぐに一般の住宅(アパート)に転居したい」と回答しながら、宿泊所がそれを許可したのはその2割にすぎないことも明らかになりました。
日弁連貧困問題対策本部委員の阪田健夫弁護士が講演しました。無料低額宿泊所の実態は、社会福祉法の第2種事業ではなく、設置条件の厳しい第1種事業であると指摘。「厚生労働省は第2種だから取り締まることができないというが、第1種事業として同法を適用すれば、人権侵害をする事業所などを規制することができる」と強調しました。
シンポでは、無料低額宿泊所の元入居者の男性も発言。「路上で宿泊所の人間に声をかけられ、千葉県内の福祉事務所に連れていかれた。印鑑を取りあげ、宿泊所側の職員が私に知らせずに勝手に私の銀行口座をつくり、生活保護費をピンハネした」と告発しました。