2011年2月16日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
帰宅の夜、駅を出ると、すっかり雪が積もっていました。横なぐりの大粒のボタン雪が、まとわりついてきます▼吹きさらしの階段で、危うくすべりそうになる女性。傘を持たずに、えいやっ!と走り出す若者。歩き出すと、水気をたっぷり含む雪で傘が重い。時折、傘にどさっと落ちてきます。電線に積もりたまった雪です▼電線からだけではありません。あちこちの建物の屋根からもすべり落ちてきて、人通りの多い道の上ではじけます。ふと、北国の人々の苦労が思い浮かびました。落雪で命を奪われたり傷を負ったりする、いたましい事故が相次ぎました▼東京あたりの雪事情を、雪国のそれと比べるのは気が引けます。しかし、転倒事故が多発しました。東京の渋谷区では、お母さんの運転していた自転車がすべって倒れ、乗っていた子どもが車にはねられて重傷を負いました▼子どもを保育園や幼稚園に送り迎えする人たちの多くが、同様のひやっとする体験をもっているはずです。雪に慣れない地域だからこその用心、解けやすくすべりやすくなる雪にすきをみせない街づくりが、ともに欠かせません▼雪積もる横浜では、赤ちゃんがアパートの1階通路に置き去りにされていました。気温が0度近くまで下がるころ、へその緒のついたままの赤ちゃんが屋外に。さいわい命に別状はないそうです。誰が、なぜ? どんな事情があるにせよ、置き去る瞬間のその人の心は、雪よりも冷たい。寒さに負けなかった赤ちゃん、生き抜いて。