2011年2月15日(火)「しんぶん赤旗」

障害者基本法改定

要綱案に批判続出 当事者の声反映されず


 内閣府は14日、障害者権利条約の批准のための障害者施策の見直しを議論している「障がい者制度改革推進会議」に障害者基本法改正案の法案要綱案を示しました。障害の当事者が構成メンバーに入っている同推進会議は、昨年12月に、法案に盛り込むべき理念などをまとめ「第2次意見」として提言しました。しかし、この日示された要綱案には、その内容だけでなく、6月の閣議決定で確認された内容さえも反映されず、委員からは批判が続出しました。

 障害者基本法の改正は、障害者権利条約批准にふさわしい国内法を整備し、障害者施策を国際水準に引き上げるために求められています。推進会議はそうした抜本改正の意味が分かる前文を置くよう求めていましたが、要綱案には前文そのものが設けられていません。障害者の権利についても、「地域社会で生活する権利」など具体的な表現が盛り込まれませんでした。内閣府は、「権利を実現するには財源が必要。国民負担を明確にしないまま権利と書くのは適切ではない」などと述べました。

 「第2次意見」では、手話などを言語として確認すること、女性について項目を設ける、精神医療の体制整備―が提言されましたが、要綱案では全く触れられていません。

 権利条約批准のために必須となる施策の推進機関について要綱案は、「障害者政策委員会」を設置すると明記。しかし、「2次意見」が求めた、同委員会の過半数を障害当事者にすることや、市町村レベルに設置することについては「難しい」としました。

 日本障害フォーラム(JDF)の政策委員長の森祐司氏は、「今回の改正が旧政権レベル以下とならないように求める」と強調しました。





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