2011年2月11日(金)「しんぶん赤旗」
TPP 労働・安全・医療まで犠牲
民主の公約にも違反
衆院予算委 吉井議員が追及
「国民の安全や命より日米大企業の利益を優先するのか」―。日本共産党の吉井英勝議員は10日の衆院予算委員会で、菅政権が交渉参加を進める「環太平洋連携協定」(TPP)の危険な本質を明らかにし、政府の姿勢をただしました。
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吉井氏は、TPPに日本と米国が加盟した場合、国内総生産(GDP)は日米両国だけで加盟国全体の9割を占めることを指摘。政府の新成長戦略実現会議の文書でも「TPPも日米FTA(自由貿易協定)も高いレベルの自由化が求められる」と明記している事実をあげ、「TPPの本質は日米FTAではないか」と追及。玄葉光一郎・国家戦略担当相は、「日米だけでみた場合、共通の留意点としてありうる」と認めました。
吉井氏は、民主党は2009年の総選挙時に、菅直人首相(当時、代表代行)の声明や全農など8団体への回答やマニフェストで「コメなどの重要な品目の関税引き下げ・撤廃をしないことを条件に交渉する」(同回答)と約束していたことを紹介。「TPPですべての品目を自由化交渉対象にし、関税ゼロの高いレベルの経済連携をめざすという政府方針はマニフェスト違反だ」と迫りました。
玄葉担当相は、「交渉の結果、全く除外品のない結果となったら、(マニフェストに)書かれていることと違うことになる」などと、事実上、公約違反の交渉となる可能性を認めました。
吉井氏はさらに、TPP交渉にむけた24の作業部会では、農業、工業などにとどまらず、労働、安全、医療まであらゆる人、モノ、カネが自由化されると告発(別表参照)。アメリカは残留農薬など安全基準の撤廃まで求めていることをあげ、「アメリカと日本の大企業のための環境整備が最大の狙いだ」と強調しました。
吉井氏は、自由化で海外から低賃金の労働者を大量に受け入れれば、日本の労働者の雇用と賃金が低下し、消費購買力低下と税収減など景気悪化の悪循環に陥ると警鐘を鳴らしました。
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