2011年2月10日(木)「しんぶん赤旗」
自衛隊の海外活動促す
米軍「国家軍事戦略」を発表
米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長は8日、米軍の運用指針となる2011年の「国家軍事戦略」を発表しました。アジア太平洋地域の安全保障環境を重視し、日本の自衛隊に対して国外での活動を促すとともに、中国にたいしては、包括的関係の強化を打ち出す一方で、その軍事力の近代化の意図に懸念を表明しました。
今回の「国家軍事戦略」は、国防総省が昨年決定した「国防計画見直し(QDR)」を受け、04年以来、7年ぶりに大幅更新されたものです。
このなかでは、アジア太平洋地域について、経済、軍事両面での比重の増大のもとで、この地域の戦略体系を見直すことが米国にとって優先事項であると指摘。北東アジアで、強固な米軍のプレゼンスを数十年にわたり持続するとの方針を示しました。
日本にたいしては、「米国として、日本がその(新たな)『防衛大綱』を踏まえ、自衛隊が域外運用能力を向上させるよう努力していく」として、自衛隊の海外での活動を促しています。
さらに、日韓両国が軍事協力の促進、地域の安定の維持のために、安全保障上の結びつきを強めることに努力するとしています。
中国にたいしては、「積極的、協力的、包括的な関係づくりをめざし、責任ある指導的役割を果たすことを歓迎する」として、米中軍事交流についてもこれを進める方針を示しました。また、朝鮮半島の安定維持のため、北朝鮮への影響力の行使を求めています。
その一方で、「中国の軍近代化の戦略的意図と、宇宙やサイバー空間、黄海、東シナ海、南シナ海で独断的な主張に懸念を持っている」と表明しています。