2011年2月10日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
知り合いが、背中に湿疹のようなものができて病院に駆け込んだ、といいます。かゆかったり痛かったり。がまんできなくなりました▼初めて体験する症状です。医師の見立ては、意外でした。皮膚の乾燥が影響しているらしい、というのです。近ごろ、眼科の病院を訪れる患者も増えている、と聞きます。やはり、目の乾燥です▼東京では大みそか以来今月6日まで、乾燥注意報が38日連続してだされました。からからに乾ききった空気。部屋の暖房。肌が乾くのも無理ありません。加えて、長い時間パソコン作業に携わる人などの目は乾きやすい▼もちろん、のどや気管支が乾燥すれば、かぜにもかかりやすくなります。都内にインフルエンザ警報も発令されていて、流行がやむ気配はありません。保健所は、「せめて室内の湿度を30%以上に」とよびかけます。加湿器や湿度計が、生活に欠かせない道具になってきたのでしょうか▼火事の発生に注意を促す乾燥注意報は、木材の乾き具合をしめす「実効湿度」と、もっとも低い空気の湿度を考え合わせて発令されています。地方によって違いますが、東京の場合、木材の乾き具合が50%以下、最小の湿度が25%以下に下がれば、注意報がでます▼しかし、東京など大都市の年間の湿度は、昔に比べだんだん低くなっているそうです。都市化のあおりです。熱をだす工場やビル、車。水分を蓄える土や木々は消えてゆく。住民の体は、夏は暑さ、冬は乾燥で、痛めつけられているようです。