2011年2月8日(火)「しんぶん赤旗」
愛知知事選・名古屋市長選
生活の改善が県民の願い
民主・自民への批判の表れ
6日投開票された愛知県知事選、名古屋市長選は、5割、7割の得票で知事は大村秀章氏の初当選、市長は河村たかし氏の再選となりました。特に河村氏には、有権者177万6千人のうち、66万2千人が票を投じ、「二大政党」の推薦する候補者は惨敗しました。名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票は、解散賛成が過半数でした。
投票で有権者が重視した公約は「年金・福祉など社会保障」が36%、「景気・雇用対策」が23%(「中日」調べ)。河村・大村両氏らが掲げた「減税」や「中京都」ではありません。
実際、日本共産党には「所得が増えないのに国保料が5万円も増えた」「介護が受けられないまま家族が他界した」「景気をよくして」と切実な声が寄せられました。
愛知県は、2008年のトヨタの大量派遣切りに始まる景気後退から抜け出せていません。県民の願いは生活の改善、閉そく感からの脱却にあります。
今回の選挙結果は、こうした政治や暮らしの問題での閉塞(へいそく)感が二大政党への強い不信となり、批判を突きつけられました。同時に、その受け皿になったのが河村・大村両氏でした。選挙戦を通じ、彼らの描く「市議会対市長」「既成政党対地域政党」という構図や金持ち優遇の「一律減税」が、あたかも“庶民革命”であるかのような印象をふりまきました。
しかし、河村・大村連合も、民主党や自民党が推す候補者も政策では、環太平洋連携協定(TPP)や広域行政の推進で足並みをそろえていました。
経済政策でも、河村氏を含めて「新自由主義」路線に立った大企業の競争力強化一本やりでした。大企業にもうけにふさわしい雇用の拡大や、適切な下請け単価の設定を求める施策はありませんでした。
土井・八田両氏は、明確な循環型の地域経済振興策を訴えました。外需より内需拡大を優先する、大型公共事業の無駄をはぶき、景気対策の即効性が認められる住宅リフォーム助成や国保料引き下げに充てる―などです。専門家からも「市民のくらしに一番効果」と評価されていました。
日本共産党愛知県委員会は7日、選挙結果を受けて声明を発表。候補者の政策が「届いたところでは有権者の支持と共感を広げるものに」なったが、「全有権者規模のとりくみには大きく及びませんでした」とのべています。そして“住民こそ主人公”の立場で公約実現に尽力するとともに、迫る名古屋市議選、いっせい地方選挙では「国の悪政にも、大企業の横暴にもはっきりとものが言える日本共産党の議席の拡大がどうしても必要」とのべています。(和田 肇)
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