2011年2月5日(土)「しんぶん赤旗」
経済界に雇用増迫れ 厚労相 環境整備したい
衆院予算委で宮本議員
「心が折れそう」学生の痛み認識しているか
|
4日の衆院予算委員会で深刻な新卒者の就職難をとりあげた日本共産党の宮本岳志議員。身勝手な採用減を続ける大企業に「正面から追加採用を働きかけるべきだ」と迫りました。
宮本氏が最初にただしたのが、昨年11月、政府と経済団体、大学団体の代表者らが一堂に会して初会合を開いた「新卒者等の就職採用活動に関する懇話会」の現状です。
高木義明文部科学相は、今月中旬に2回目を開き、「学生の大企業志向などのミスマッチ」と「採用活動の早期化・長期化」などについて意見交換したいと答弁しました。
大企業の採用減
宮本氏は、「経済界に雇用を増やせと迫るということが議論されていない。ハローワークで突然泣き崩れたり、心が折れそうと語る学生の心の痛みを認識しているのか」と強調。就職難の根底には大企業による採用の大幅減があると強調しました。
例えば、トヨタ自動車では、2006年春に3014人採用したのに、今春の採用計画ではわずか960人。パナソニックでは08年春の800人が290人になっています。宮本氏はこうした実態を示し、政府が大企業に追加採用を正面から迫るよう求めました。
細川律夫厚生労働相 中小企業の(大卒)求人倍率は4倍。求人と求職のミスマッチ解決がたいへん大事だ。
宮本 大企業が下請け中小企業を冷たく切り捨てている現実がある。学生がえり好みしてそうなっていると見るのは間違いだ。大企業の採用が減っていることも事実だ。
宮本氏は、大企業が、エコカー補助金(約6千億円)やエコポイント事業(約7千億円)の恩恵を受けており、10年上期の上場企業の連結経常利益もリーマン・ショック前の96%まで急回復していることを指摘。主要100社がリーマン・ショック後の10年春、09年と比べて約1万3千人も採用を減らしたことを資料で示し、「国民の税金で巨額の支援を受けて業績を回復させた大企業が採用は大幅に減らしたまま。こんなことは許されない」と強調しました。
宮本 直ちに「懇話会」を開き、大企業に追加採用を強力に迫るべきだ。
文科相 懇話会でも追加採用の要請をしていきたい。
宮本氏は、日本の大企業には、244兆円もの内部留保があり、その0・2%を取り崩しただけでも、未内定の学生12万6千人の給与(1年分)はまかなえると指摘。トヨタでいえば0・03%で2千人も採用できると強調しました。
宮本 これぐらいのことを迫るのは政府の務めだ。
枝野幸男官房長官 気持ちはわかる。体力のある企業には追加採用をお願いしている。
労働時間は急増
「団塊の世代」の退職が続いているのに採用を減らせば何が起こるか―。宮本氏は、労働時間が増加し、とりわけ製造業では所定外労働時間が前年比32・3%と急増していることを政府とのやりとりで明らかにしました。
その上で「サービス残業を根絶しただけで200万人の雇用が生まれる」との試算にもふれ、こう迫りました。
宮本 いまこそ異常な長時間労働をただし、正社員での採用を増やさせるべきだ。
厚労相 労働基準法の順守を徹底しなければならない。より多くの方が正社員になれる環境整備をしたい。
宮本氏は、「大企業に厳しく迫るべきだ。それがいえないと自民党政権と違いがない」と強調しました。