2011年2月3日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
いまの民主党の誕生は、稲盛和夫氏ぬきに語れません。2002年から03年にかけての話です▼当時の自由党を率いていた小沢一郎氏が、旧民主党の代表の鳩山由紀夫氏らに、両党の合併を求めます。鳩山氏も応じますが、党内の反発で代表の辞任に追い込まれます。鳩山氏が「なんとかまとめてほしい」と頼み込んだ人が、京セラ名誉会長の稲盛氏でした▼稲盛氏はさっそく、「必死に説得した」といいます。もともと、財界のなかでも「二大政党制」づくりに熱心だった人。早くから小沢氏に、「一緒にならないとだめだ」と説いていたのも稲盛氏でした▼翌年夏、合併に成功し、いまの民主党ができました。稲盛氏ら財界人は、「二大政党制」に安全を期待したのでしょう。自民党の政権がいきづまっても、財界の利益が脅かされないよう民主党に差し替えられる、政治の安全を▼いまは日本航空会長の稲盛氏。しかし、空の安全にかける情熱は疑われています。「1年前は…『安全が第一で、利益は二の次』だった」。自身の実績を語る発言です。安全第一ではない航空会社とは、一体…? 経験豊かなベテランパイロットを解雇するなど、安全を心がける業界では考えられないような人減らしもすすめる稲盛会長です▼きのうの日本共産党・志位委員長の質問に、日航再生の大前提は「安全」と認めた菅首相。ならば、たとえ相手が民主党の恩人でも、しっかりものをいってほしい。なお1日付で、「三日月」は「逆三日月型の月」でした。