2011年2月1日(火)「しんぶん赤旗」

小沢氏起訴 自浄能力ない民主党

一度も国会説明しない異常

首相も疑惑に背向ける


 民主党の小沢一郎元代表が31日、政治資金規正法違反で強制起訴されました。小沢被告は、今後は「法廷の場で真実を述べる」などと、国会での説明を事実上拒否しましたが、それは政治家として許されません。

 小沢被告の直接の容疑は、同氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入資金4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったものです。

 政治資金規正法は、政治活動を「国民の不断の監視と批判の下に」おくことで、「政治活動の公明と公正を確保」するためのもの(第1条)。政治腐敗をなくしたいという有権者の思いを代弁したものであり、同法違反はそれを裏切る重大なものです。

道義的責任を

 しかも、小沢被告はこれにとどまらず、土地購入資金の出所や、公共事業を受注するゼネコンからのヤミ献金疑惑、つまり国民の税金が還流しているのではないかということも問われています。こうした疑惑に対し、自ら政治的道義的責任を明らかにするのは、政治家としての当然の責務です。

 ところが、小沢被告は、こうした疑惑について、一度も国会で説明したことがありません。強制起訴をされたからといって、国会の場で疑惑にこたえ、政治的道義的責任を明らかにする責務はいささかも消えません。

 問題は小沢被告個人にとどまりません。2009年の総選挙前に、旧新生党の資金などを原資とする総額4億4900万円が、小沢被告が代表を務める党総支部と陸山会を経由して民主党の予定候補者計91人に配られていた問題まで発覚しています。

 ところが、菅政権と民主党は、自浄能力を発揮するどころか、小沢被告に説明責任を果たさせることもしてきませんでした。

早々“免罪符”

 菅直人首相は昨年6月の所信表明演説で、小沢被告の疑惑について「(幹事長)辞任という形で自らけじめをつけられた」などと、早々と“免罪符”を与えていました。その後、世論に押されて説明を求めるようになったものの、小沢被告に要求してきたのは、出席の強制力もなく、単なる弁明の場にすぎない衆院政治倫理審査会(政倫審)での説明だけ。強制力があり、ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問については一顧だにしてきませんでした。

 菅首相は年頭会見(4日)で、「政治とカネ」問題で国民不信があるままでは「痛みを分かち合ってもらうことがとてもできない」と述べました。疑惑に正面から切り込むどころか、国民に消費税増税などの負担を押し付ける道具にするという姿勢です。

 小沢被告の喚問を拒否する民主党の姿は、自民党政権と比べても異常です。ロッキード事件では、小沢被告が“父”のように慕った田中角栄元首相が証人喚問を受け、同事件の解明につながりました。この経験からも、司法と国会という“車の両輪”による真相究明が重要なことは明らかです。

 民主党は、「政治とカネ」問題の根源である企業・団体献金を、一昨年の総選挙公約を破って現在も受け続けています。しかも、“自粛”していたはずの公共事業受注企業からの献金受け取りまで再開を決めました。

 いま菅政権と民主党にも、「政治とカネ」問題をめぐって、根本的あり方の問題が突きつけられています。 (林信誠)





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp