2011年1月31日(月)「しんぶん赤旗」
「デモ、大統領辞任まで」
エジプト 警官消え略奪行為も
ムバラク氏は副大統領任命
【カイロ=伴安弘】エジプトのムバラク大統領は29日、副大統領に側近のオマール・スレイマン情報部長官を任命しました。これまで副大統領職は置かれていませんでした。また、内閣総辞職を発表、新首相にアハマド・シャフィク民間航空相を任命しました。
この発表は同大統領の退陣を求める空前の反政府デモを受けたものですが、外出禁止令発令後、夕方まで首都カイロの中心部にとどまっていたデモ参加者からはムバラク大統領の辞任までデモを続けるとの声が出ていました。
カイロではこの日も数万人がデモに参加。北部アレクサンドリアなどでもデモが行われました。一方でカイロでは、警官はまったく姿を消しました。軍は同日午前、声明を発表し、外出禁止令を3時間拡大して午後4時から翌日の8時までとしこれを国民が守るよう呼びかけました。同時に略奪行為が続いていると警告しました。
軍はまた、「国民に銃を向けない」との姿勢を示しました。このため外出禁止令が出されている4時以降も、タハリール広場を中心にカイロでは数万人がデモを続け、「ムバラクもスレイマンも要らない」と大統領らの退陣を叫びました。
しかし、警官が姿を消し、略奪行為が激しくなる気配がみえたため、デモ隊は夜に入って家路に就きました。その後、各居住地域で略奪に備えて、カイロ全域で住民の自警団が組織されました。30日午前10時現在も、カイロ中心部にデモ隊の姿はみられず、軍が主要道路の規制にあたっています。
政府は29日、28日のデモで38人が死亡したと発表しました。しかし、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは各地の病院での遺体の数を基に、カイロだけで50人、全国で100人以上の死者が出たと伝えています。