2011年1月31日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 タカの紋章を真ん中にあしらい、横長の赤、白、黒の帯。いま空前の反政府デモが起こっている、エジプト・アラブ共和国の国旗です▼三つの色のうち、いちばん下の黒は過去の圧政をさす、といいます。人民の苦しみの記憶なのでしょう。中の段の白は平和と寛容を、上の赤は革命で流された血を、それぞれ表すそうです▼国旗に染めこまれた革命の指導者に、ナセル元大統領がいます。ナセル氏らは1952年、形の上では独立国ながらイギリスに支配される国を改革しようとクーデターに打って出ました。翌年、王制を廃止し共和国に変えます▼ナセル氏は、エジプトは「二つの革命」を同時に通り抜けつつあるといい、その試練についてのべていました。一つは、民族が独立する「政治革命」。もう一つは、国民のための正義が実現し、社会が安定する「社会革命」です▼先日、オバマ米大統領が語っていました。「(エジプトの)ムバラク大統領には、政治改革と経済改革が欠かせないと伝えてきた」。「二つの革命」ならぬ「二つの改革」です。いまアメリカにとってエジプトは、中東での最大の足がかり、“同盟国”です。政権が崩壊しないよう政治・経済の安定を、と望んでいます▼しかしデモの参加者たちは、アメリカの思惑を超えるかのように、強権をふるってきたムバラク政権の「打倒」を叫びます。そして、「民主主義を」「人権を」。彼らにとっては、国の独立を手にしたものの、国旗の赤と白の間はまだ道半ばなのでしょう。





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