2011年1月30日(日)「しんぶん赤旗」

エジプト政権 事態緊迫

米欧諸国は対応に苦慮

中東での米の最大の同盟国


 アラブ世界の大国エジプトのムバラク政権が窮地に追い詰められる中で、米欧諸国は事態が急変することに懸念を深め、対応に苦慮しています。

 ムバラク大統領は29日未明に、内閣を総入れ替えする意向を表明する一方、体制維持に強い意欲を示しました。しかし、体制に対する国民の怒りがこれで収まるとはいえません。

 ムバラク氏は副大統領だった1981年に発令された非常事態宣言を継続し、29年間にわたって強権的な統治を続けてきました。このため、体制が崩壊した場合のいわゆる受け皿は存在しないのも同然で、事態が混迷を深める恐れもあります。

 一方、ムバラク強権体制を支えたのは、米欧諸国でした。

 エジプトは人口8300万人を抱える中東最大の国であり、同地域における米国の最大の“同盟国”でもあります。1977年にはアラブ世界で最初にイスラエルと国交を樹立。米国からの軍事・経済援助は、イスラエルに次ぐ年15億5000万ドル(約1275億円)に達しています。

 アラブの地域大国であり、米欧と良好な関係を保ち、イスラエルとも外交関係があることから、中東和平問題ではアラブ諸国とイスラエルとの仲介役を自負してきました。

 オバマ米大統領は大規模デモにあたって、当局の暴力にも「抑制」を求めました。ムバラク政権が退陣を余儀なくされるような事態に至るなら、外交にも影響は及びます。その衝撃は、先のチュニジアのベンアリ体制の崩壊の比ではありません。(カイロ=伴安弘、外信部=浅田信幸)





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