2011年1月30日(日)「しんぶん赤旗」

日程協議も行わず、証人喚問に背

与党の横暴許されない

衆院予算委の異常事態なぜ

穀田国対委員長に聞く


 国会は冒頭から、与党が来年度予算案の提案理由説明を衆院予算委員会で一方的に強行し、質疑に入ろうとする異常事態になっています。どうしてこんな事態になっているのか、日本共産党の穀田恵二国対委員長に聞きました。


 与党・民主党は28日、衆院予算委員会を理事会での与野党協議をまったく行わないまま一方的に開会し、来年度予算案の提案理由説明を強行しました。出席したのは民主、国民新、社民の議員だけでした。

運営の慣例破る

 民主党は、「衆参の代表質問終了後直ちに予算委員会で説明聴取するのは長年の慣例であり、野党側は理由もなく拒否した」などと言っていますが、とんでもないことです。

 審議入りなどの委員会運営については、与野党による理事会で協議し合意のうえすすめるのが慣例です。同日はそうした協議のための理事会は一度も開かれませんでした。与党は、理事会で共産、自民、公明の野党側と協議もせず、一方的に委員会開会を強行したのです。議会運営は各党合意ですすめていくべきものであり、多数党が一方的にすすめるというのは議会制民主主義をふみにじる横暴なやり方です。

 その上、与党・民主党は、菅直人首相と全閣僚が出席する基本的質疑を31日と2月1日に行う日程と、質疑時間は与党5時間・野党9時間という割り振りまで一方的に中井洽委員長の職権で決めました。予算委員会を冒頭から委員長の職権ですすめるなど前代未聞のことであり、絶対に認められません。

 日本共産党の笠井亮議員など野党4党の理事は、予算委員会の日程について、暮らしや外交など国民にとって重要な課題を議論するために、31日に提案理由説明を行い、2月1日から基本的質疑に入る日程を提案していました。これは、菅首相がダボス会議から30日夜に帰国することや、野党が求めている予算委員会での小沢氏の証人喚問について民主党が対応策を協議するための時間も考慮したものでした。ところが、民主党はそうした野党側の提案には一顧だにせず、強行したというのが経過です。

同時並行を主張

 民主党はまた、「喚問問題は予算審議と切り離すべきだ」と主張し、野党が喚問問題をからめて審議拒否しているかのようにいいますが、それも事実と違います。予算審議と小沢氏の喚問問題についての協議を同時並行で行うよう主張しているのがわが党であり、自民、公明、みんなの党なども同様の立場に立っています。まともな審議と証人喚問の協議を拒んでいるのは民主党のほうです。

 社民党以外の野党6党は、政治資金規正法違反容疑に問われている小沢一郎民主党元代表の国会招致について「政治的道義的責任の追及と真相究明を行うためには証人喚問以外にない」と主張し、予算委員会での民主党としての態度を示すよう求めてきました。

 日本共産党は、小沢氏の疑惑の核心は、公共事業費がゼネコンを通じて献金として還流したのではないかという予算執行にかかわる大問題であり、予算案審議のなかで明らかにする必要があると主張してきました。

 この問題で民主党の岡田克也幹事長は27日の与野党書記局長・幹事長会談で、証人喚問を拒否しながらも、「予算委の現場で各党でよく議論してほしい」とのべました。これを受けて野党側が、民主党としての対応策を求めたのは当然です。27日に開かれた野党6党による国対委員長会談でも私は、予算案審議と並行して証人喚問の実施を求めていこうと主張し、各党も同様の立場を表明しました。

 与党・民主党は、予算委員会の一方的強行を中止し、証人喚問問題に対する責任ある対応策を示すとともに、まともな審議を行う道に立ち返るべきです。

 民主党が横暴な議会運営に出てきているのは、ねじれ国会のもとで、参院で予算・法案が否決されても、衆院で3分の2の賛成で再議決して成立させる展望を開きつつあることや、強制起訴される小沢氏の問題を国会審議と切り離しておきたいなどの思惑が反映していると思います。

展望示す論戦を

 今国会では、代表質問を見ても、消費税増税に前のめりの菅政権に対して自民、公明が翼賛体制ともいうべき姿勢を示すなかで、消費税増税に反対し、消費税に頼らずに社会保障を充実させる道筋を打ち出しているのは日本共産党だけです。

 環太平洋連携協定(TPP)や沖縄・辺野古への米軍新基地建設についても真正面から反対し、閉塞(へいそく)状況を打開する展望を示しているのも日本共産党だけです。政治を転換する展望を示す論戦がいっそう重要になっており、全力あげる決意です。





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