2011年1月30日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 かぜの季節の南天のどあめ。新年のお寺へ行くと、ナンテンの横に「難転の木」と書かれた立て札▼さまざまな薬効があり、語呂あわせで難を転じる縁起のいい木ともされてきたナンテン。積もる雪から顔をのぞかせる赤い実は、みる人に、色彩の美しさだけでなく暖かみや芯(しん)の強さを感じさせます▼俳句の世界では、ナンテンの実は秋の季語です。「鷗外の生家北向き実南天」(松崎鉄之介)。日の当たらないくすみがちの北向きの場所に、彩りを与え生命の小さな火をともすナンテンの実は、冬にありがたみが増すのですが▼ナンテンの葉っぱは、お赤飯やおもちの上の飾りに使われます。兵庫選出の元参院議員、安武洋子さんは、旧南光町の知り合いから毎年のように正月のおもちをもらっています。やっぱり、ナンテンの小枝が乗っています▼2年と1カ月前の年末でした。安武さんは、飾りの小枝を100円の店で買った湯飲みにさしておきました。思い出したら水を足す。それがなんと、2年たっても枯れません。やや色が落ちたぐらいで、去年の夏の暑さにも平気の平左。次の年におもちをいただいた時の小枝は、水にさしたものの、しばらくして葉を散らしました▼ナンテンの葉は、わずかに含む毒素シアン化水素のはたらきで、天然の防腐剤となるそうです。それしても不思議な葉。安武さんが、電話の向こうで語りました。「いとおしくなって、枯らしてはいけないぞと責任を感じたり、82歳の私も負けられないと思ったり、です」





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp