2011年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

主張

指定水域外米軍訓練

命軽視の蛮行は許されない


 米軍の訓練のために沖縄周辺に設定されている指定水域の外側で昨年12月機雷捜索・回収訓練を行った米軍が、今月上旬、こんどは米軍機による爆撃訓練を計画していたことが発覚し、沖縄県民の怒りを買っています。

 爆撃訓練は県民の反発で指定水域外の実施は中止され、指定水域内で実施されました。しかしいつまた指定水域外で危険な訓練を行うかわからないという状況では、漁民は安心して漁にでることはできません。少なくとも指定水域外での軍事訓練は絶対やめ、再発させない保障を明確にすべきです。

野放しでいいはずがない

 沖縄本島南東には、民間船舶の航行の安全を図るとして政府が米軍の訓練水域を告示していますが、今回問題になったところはその指定水域ではありません。

 米海軍は今月上旬、空母カールビンソンの艦載機の爆撃訓練を沖縄周辺の指定水域の外側で行う計画でした。計画が明らかになったのは、米軍がだした一般船舶に注意を促す「航行警報」を日本の海上保安庁が受信し、それを沖縄県や漁業団体に知らせたからです。米軍が直接地元に通知もせずに危険な訓練を一方的に行おうとしたことは、米軍が沖縄県民の命を軽視していることのあらわれです。

 該当する水域は沖縄県漁業の主力であるマグロとソデイカの漁場であり、その操業を危険にさらす米軍の指定水域外訓練はとうてい許されるものではありません。沖縄県漁業協同組合連合会など漁民団体が指定水域外訓練の中止を日米両政府に求めるよう、沖縄県に強く要請したのは当然です。

 指定水域外での米軍の軍事訓練は初めてではありません。わかっているだけでも2001〜02年にかけて沖縄周辺、鹿児島沖、島根県沖など14カ所で爆弾爆破をはじめとした軍事活動を20回も実施しています。今回もその延長です。

 米軍が広大な指定水域をもちながら、それ以外の水域で、日本政府に通知もせずに訓練をくりかえすのは、必要に応じて日本周辺の水域をどこでも自由に使用できることを狙っているとしかみえません。蛮行をくりかえさせないためには、指定水域外での軍事訓練をきっぱりやめさせる措置をとることが不可欠です。

 沖縄周辺の指定水域もその外側の水域も日本の排他的経済水域です。日本の200カイリ水域を使用する場合、日本に「妥当な考慮を払う」義務が米軍にはあります。単なる航行ではない、爆撃訓練の実施が日本への「妥当な考慮」にならないのは明白です。指定水域外での軍事活動をやめさせるのは当然です。漁民から好漁場を奪っている指定水域の見直しも避けては通れない問題です。

米国にものをいう政治を

 国連海洋法条約が1994年に発効して以降、公海だからどんな軍事活動も自由といった米軍の言い分は通用しなくなりました。排他的経済水域の採用で日本には、日本の漁業を守るために主権に準じる「主権的権利」を行使する権利が生まれました。にもかかわらず政府は、米軍に気兼ねして米政府に、爆撃訓練などの軍事活動をやめよといえないでいます。これでは漁民などの利益は守れません。

 対米追随の異常を正し、米政府にものをいう政治を実現していくことがここでも必要です。





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