2011年1月28日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 ようやく口蹄疫(こうていえき)の被害から復興に転じた、畜産大国の宮崎県。こんどは、鳥インフルエンザです。ウイルスという目にみえない敵の感染に、不安が広がります▼加えて、霧島山系の新燃岳(しんもえだけ)の噴火です。2000メートルに達した噴煙が、あたりに溶岩のかけらや灰をまきちらしています。噴石が雨あられのように降ってきたところ、農家のビニールハウスが破れたり作物が灰をかぶったりしたところもあります▼火口湖があちこちに青い水をたたえ、20あまりの火山が連なる霧島山系。高千穂峰が、神話や坂本竜馬と妻おりょうの新婚旅行で知られます。新燃岳の噴火は、かつても農産物や家畜に被害を与えました。早く収まりますように▼口蹄疫や鳥インフルエンザといい、火山の噴火といい、農業の営みについてあらためて考えさせられます。大自然と生きものを日々相手にして、生命体としての人間にもっとも大切な食料を生み出す農業。苦労がつきまといます▼自然界にひそむ危険だけではありません。政治が襲いかかってきます。きのうの衆院本会議。日本共産党の志位委員長が、菅首相に問い詰めました。農産物も関税をゼロにする環太平洋連携協定(TPP)への参加と、食料自給率を40%から50%へ上げる政府の目標は、いったい両立するのか▼菅首相は、お定まりの「農業再生」策の検討をあれこれ語ったものの、「関税ゼロ」と「自給率50%」についてはまともに答えずじまい。答えられなかったのでしょう。やっぱり、危ない、危ない。





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