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2011年1月26日(水)「しんぶん赤旗」
通常国会の冒頭から
民主 足元から冷めた声
自民・公明 “対決”演出するが
通常国会は菅直人首相の施政方針演説を受けて26日から3日間、衆参本会議の代表質問で国会論戦がスタートします。TPP(環太平洋連携協定)参加や消費税増税に前のめりの菅首相に対して、民主党内や自民、公明両党の動きは―。
菅首相は施政方針演説でTPP参加と「税と社会保障の一体改革」の名による消費税増税などを強調。「大きな課題に対策を講じる責任は、与野党の国会議員全員が負っている」と与野党協議に応じるよう呼びかけました。「ねじれ国会」のもとで野党側を抱き込みたい思惑をにじませました。
しかし、菅首相が声を張り上げても、足元の民主党議員からも拍手は少なく、たちあがれ日本を離党して入閣した与謝野馨経済財政相の経済演説には自民党議員から「拍手してやれよ」と皮肉られる場面までありました。
自民党などが協議にただちに応じる姿勢を見せないもとで、審議が始まる前から、予算案の修正を検討する話まで出ています。菅首相は、24日の民主党両院議員総会で「野党が対案を出し、取り入れるべきものがあれば、大いに取り入れていく」と述べました。そこには、「問題意識はすでに共有されている」(首相)というように、基本的政策で自民や公明と大きな違いがないことが背景にあります。
一方、党内は、小沢一郎元代表に近い議員を中心に、菅首相や執行部への批判が噴出しています。
両院議員総会では、昨年の代表選で菅首相に投票した議員からも「与謝野経済財政相に引きずられて政策が変更されると疑いを持たれる。消費税増税に前のめりであると印象を与えるとすれば大変危険なことだ」との声が出されました。菅首相は「挙党一致の考えが違うといわれているが、そうは思っていない。どうかご理解をいただきたい」と収めるのに必死でした。
自民党の谷垣禎一総裁は24日の会見で、与野党協議について「ばらまくだけばらまいて、その請求書はいっしょにやろうという部分が相当ある」と難色を示しました。「解散して信を問い、正直に現状を言って、その結果から出発することだ」と解散を迫るなど“対決”を強調しています。
しかし、これは10%への大増税を求める立場から、「菅首相、今度は本気ですか、その本気の証拠をみせてください」(20日の会見、谷垣氏)と迫っているにすぎません。
これまでも協議に応じる条件として(1)民主党マニフェストの撤回(2)政府・与党による増税案の提示を要求。“バラマキ”と位置づける子ども手当や高校無償化などは廃止した上、さらに消費税増税をと迫っています。
公明党も首相の呼びかけに対し、山口那津男代表が「裸で抱きついてくるような恥ずかしいまねはやめてもらいたい」(24日)と批判したものの、「われわれはむしろ与野党協議機関を設置せよと提案してきた」と誇っています。
もともと2011年度中の消費税増税は自公政権時代の09年に成立した所得税法付則に盛り込まれたもの。政権交代後も、自民党は11年度までに消費税増税を求める「財政健全化責任法」案を提出しています。この法案について与謝野経済財政相が「与野党で協議してもらうことは極めて重要だ」(25日)と語るなど消費税増税の“大連立”をねらう危険な動きは見逃せません。