2011年1月26日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 雲が垂れ込め、底冷えのする日。家で仕事を始めたとたん、人が訪ねてきました▼戸を開けると、若い男性でした。コートも着ずに背広・ネクタイ姿。髪の毛は、北風に吹き付けられたのか、乱れています。抱えているダンボール箱の中から、台所用品をとり出し、話しだしました。「私、けんしゅうちゅうなんです。これ買ってもらえませんか」▼? 説明してもらって、事情がのみこめました。研修中でした。彼は、卒業をひかえた大学4回生。3回生の昨年2月に就職が内定し、1年近い。「もう50日ぐらい研修に参加しています」といいます▼名刺をいただきました。名前の上に、「11年内定者」と紹介し、次に大学名。家事道具をあつかっている会社でした。彼によれば、研修といっても講習から作法、実習、懇親会まで、さまざまです。1軒1軒訪ねる外回りの場合は、夜明け前に出社し、夕方5時まで。会社から交通費は払われますが、報酬はでません▼研修のない時アルバイトし、生計を立てているという彼。「私は縁あって就職できそうですが、まだ内定のとれない人も多いようで、なんとかならないか、と…」。就職の内定した大学生の割合が、昨年12月初めで過去最低の68・8%と報じられた直後でした▼内定しても、会社への忠誠度などでふるいにかけられ、振り落とされる人もいる、とききます。そうそう、体が冷える彼と長話もできません。就職・超氷河期の学生を応援するつもりで、?百円の思わぬ出費となりました。





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