2011年1月25日(火)「しんぶん赤旗」

海自あたご衝突裁判

2士官に禁錮2年求刑

検察 「過信こそ最大の原因」


 千葉県房総半島沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突、沈没させ、漁師親子が死亡した事件で業務上過失致死罪などに問われた「あたご」の元当直士官の長岩友久被告(37)=元水雷長=と後潟桂太被告(38)=元航海長=の論告求刑公判が24日、横浜地裁(秋山敬裁判長)で開かれました。検察側は両被告に禁錮2年を求刑しました。


 公判で被告側は、「清徳丸が直進していればあたごの艦尾を通過した。衝突の原因は清徳丸の右転」と主張。

 論告で検察側は「根拠とする被告弁護側の航跡図に合理性がなく認められない。海上衝突予防法上、避航義務のあるあたごが漁船群の動静を注視し、早めに回避動作をしていれば衝突は回避できた」と指摘しました。

 そのうえで、両被告の公判での証言にふれ、「自分たちはミスを犯すはずがない、という過信を感じさせる証言がしばしばあったが、この過信こそが本件の最大の原因だ」と非難。漁船群の動静を注視せず、まんぜんとした操船の根底にあるのは「小型船がよけてくれるはず」という潜在意識の表れだとしたうえで、「冷たい海に投げ出され命を奪われた漁師親子、その家族の悲しみは深い。両被告の過失責任は免れない」と断じました。

 被告弁護団は、「求刑は検察の航跡図にもとづくもので、予想していたものだ。最終弁論でこれまで通り無罪を主張する」と語りました。

 公判を傍聴した遺族の一人、吉清祥章さん(21)は、「求刑は(二人の命に比べて)軽いと思う。検察が両被告の過信が衝突の原因という指摘はその通りだと思う。判決を見守りたい」と話しました。





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