2011年1月25日(火)「しんぶん赤旗」

タイ 政治対立再燃

大規模集会相次ぐ


 【ハノイ=面川誠】タイのタクシン元首相派「反独裁民主統一戦線(UDD)」は23日、バンコクで数万人規模の反政府集会を開きました。UDDと対立する「民主市民連合(PAD)」も25日に大規模集会を予定。今年前半に見込まれる総選挙を前に、両者の対立が再燃しています。

 UDDは農民、低所得労働者を基盤とし、PADは都市中間層が支持していると言われます。2006年のクーデターで政権を失ったタクシン氏は在任中、手厚い生活支援策を通して低所得層に政治基盤を固めました。

 現地報道関係者は「タクシン政権は政治から除外されていた人々を政治活動に引き入れた。この後戻りできない変化が、階層間の対立を深刻化させている」と言います。

 UDDのティダ議長は自分たちの活動について、「タクシン氏の復権が目的ではない」と述べています。昨年4、5月の騒乱で拘束された19人のUDD幹部を釈放するよう求めています。

 アピシット首相は昨年12月、UDD指導部と会談し釈放の検討を約束。今月に入り、低所得層向けに基本電気料金の無料化、燃料費補助、低利融資などの社会福祉政策を発表し、UDD支持層の取り込みを図っています。

 一方のPADは、街頭行動を通じて2006年のクーデターへの流れをつくった勢力。首相とUDDとの妥協に反発し、カンボジアとの共同国境画定委員会が合意した覚書について、その内容がタイに不利だとして批判を強めています。

 これに対し首相は23日の演説で、PADの要求を受け入れないと言明しました。

 こうした政治的対立の深まりには、「今年、タイの政治危機は続くだろう」「総選挙でアピシット政権が勝利しても、いっそう不安定化する可能性が高い」(企業コンサルタント会社IHSグローバルインサイト)との見方が広がっています。





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