2011年1月25日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
閉じる。開く。閉塞(へいそく)感ただよう今、「開国」という言葉は、人々の耳に快く響くかもしれません▼施政方針で「日本だけが経済の閉塞、社会の不安にもがいているわけにはいかない」とのべた菅首相。「国づくりの理念」の第一に、「平成の開国」をあげました。貿易・投資の自由化や人材交流で「経済を開く」と▼焦点は、環太平洋連携協定(TPP)に加わるかどうかです。しかし、“TPPで開国”とは、どうもいかがわしい。すでにTPPに入っている国と参加へ向けて交渉中の国は、合わせて9カ国。日本は、うち6カ国とすでに2国間の連携協定を結んでいます▼首相は施政方針で、残る3カ国のうちオーストラリアとも2国間の交渉を進める、といいました。あとはアメリカとニュージーランド。ここで思い起こすのは、前原外相の発言です。新年早々、アメリカで講演しました。「私はこれ(TPP)を日米関係強化の一環として位置づけています」▼アメリカとのきずなを強めるため、わざわざTPP入りをめざす。しかし、アメリカなら、すでに先方から農産物もふんだんに買っています。経済だけではありません。米軍基地を国中に置き、アメリカに対しては開きすぎの感さえあります▼「明治の開国」「戦後の開国」に続く「第三の開国」に挑む、と首相。そういう大きな「開国」の話をするのなら、戦後ずっとアメリカに頭の上がらない従属国を卒業し、世界で堂々と生きることが本当の開国と思えますが、どうでしょう。