2011年1月24日(月)「しんぶん赤旗」
NHK「日曜討論」
穀田国対委員長の発言
日本共産党の穀田恵二国対委員長が、23日のNHK番組「日曜討論」でおこなった発言を紹介します。
改造内閣―民主党政権は自民とうり二つ
冒頭、菅第2次改造内閣への与謝野馨経済財政相の起用が議論となり、民主党の安住淳国対委員長は、与謝野氏について「社会保障全般の深みのある議論の軸として歓迎している」「自民党から『たちあがれ日本』へ行ったときは厳しい批判はなかった」と弁明しました。
穀田 いまの菅政権は、国民が「政治を変えたい」と思った願いを裏切りました。政権交代後、わずか1年半で民主党政権は自民党とうり二つだということが明らかになった。その象徴が与謝野さんの入閣だと思います。(一昨年の)総選挙で民主党は4年間は消費税を上げないといいました。ところが当時、自民党の主要な閣僚だった与謝野さんは増税の旗振り役をやりました。(与謝野氏を)菅政権の要にすえて消費税の旗振りをさせて恥じないところに、民主党内閣がいかに自民党化したかの象徴があります。そこを追及していきたい。
同時に外交問題では、いま民主党が日米軍事同盟路線に舵(かじ)を切り、深化させる方向にいっています。沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設という「日米合意」を実行することで県民の総意を踏みにじろうとしている。これを糾弾したいと思っています。
2011年度予算案―大企業に減税、庶民に増税
続いて、2011年度予算案が議論となり、民主党の安住氏が来年度予算案の「修正」に言及。自民党の逢沢一郎国対委員長は「政権与党が国会が始まる前に修正に言及するのは絶対の自信作でないことを明らかにしている」としつつ、「われわれの主張をできるだけ法案に盛り込むかたちで成立を期していく」と応じました。
穀田 (来年度)予算案を考える場合に、いまの国民の暮らしの現状はどうかというところに思いを致さなければならないと思います。
労働者の場合、年間の収入は前年に比べて24万円も下がっている。学生の就職内定率は68・8%で過去最低。農業に従事している人たちは、(米価暴落で)コメをつくっても飯が食べられない。中小企業は仕事がない。こういう現状の暮らしの応援をどうするかが問われています。
ところが、いま資本金10億円以上の大企業は、内部留保だって244兆円も積み上げていて、金余り現象といわれる実態です。そういうところには法人税減税で5%減税して助けてあげる。さらには(大資産家に)証券優遇税制で、民主党が野党の時代に大金持ち減税だといったことをやる。そして消費税を庶民には押し付けてくる。こういう(菅内閣の)逆さまなやり方を、私たちは明らかにして、その転換を展望して対峙(たいじ)していきたいと思います。
一体改革―実態は社会保障改悪と消費税の増税
この後、菅内閣のすすめる社会保障と税制の一体改革が議論となり、たちあがれ日本の片山虎之助参院幹事長が「消費税を考えなければいけないのは(民主党と)似ている」と発言。社民党の照屋寛徳国対委員長が「持続可能な社会保障とは何か、熟議をつくそう」と述べ、みんなの党の山内康一国対委員長も「改革はわかる」と応じ、民主党の安住氏が「片山、照屋、山内氏も(社会保障の)持続可能性が難しいという認識は一緒」と歓迎。公明党の漆原良夫国対委員長も、超党派の議論を呼びかけていると発言しました。これを穀田氏は次のように批判しました。
穀田 (菅内閣は)社会保障と税制の一体改革といっていますが、社会保障については改悪だらけですよ。与謝野さんは年金の支給開始年齢を遅らせることまで言及しました。医療でいうと、国保(国民健康保険)料は高すぎる。介護(保険料)についても払うに払えない事態が生まれています。
一方、財政が足りないといって法人税減税で1兆5000億円もばらまく。大資産家に対しては証券優遇税制をやる。結局、どうなるかというと、社会保障は削る、一方で(大企業などに)減税のばらまきをする。そして、最後は消費税増税で庶民に負担を負わせるやり方自身に大きな問題点があると思います。ですから、(社会保障と税制の)一体改革じゃなくて、社会保障は改悪、消費税は負担という政治をいま狙っている。私どもはこれを明らかにしていきたいと考えています。
小沢一郎元代表の問題―証人喚問で真相と政治的道義的責任を明らかに
最後に民主党の小沢一郎元代表の衆院政治倫理審査会への出席拒否と証人喚問が論点となり、安住氏は、小沢氏の政倫審出席拒否について「遺憾」としつつ、「証人喚問は1人の議員の身分にかかわる話。予算委員会の審議で理事会を中心に議論を」と発言。社民党の照屋氏は「強制起訴でも、無罪になるかもしれない。軽々に進めてはいけない」と小沢氏を事実上、擁護しました。
穀田 この問題は、国会の役割は何かということです。国会は疑惑の真相を究明する(役割があります)。(小沢一郎元代表の資金管理団体の)4億円の原資は何であったか、公共事業の受注との絡みで献金が行われていたのではないか。つまり、国民の税金が政治家に還流し、政治がゆがめられたのではないかという疑惑の解明が国会に求められているんですね。この真相究明とあわせて、政治家の政治的道義的責任を明らかにすることが求められているんです。
政倫審は弁明の場で、非公開で意味をなさないのは明らかです。ですから、(国会に)来ないといっている人を来させようと思ったら、強制力のある証人喚問を行う議決をして、民主党がOKといえば来れるわけです。(小沢氏に)来ていただいて、うそをついてはならないところで(開催)できる証人喚問しかないと思います。
(小沢氏の)処分をどうするかは民主党の問題であって、国会での説明責任を果たさなければならないことは消えるものではありませんから、証人喚問をやらない理由にはなりません。問題は、民主党が処分を決めるというなら、きちんと証人喚問をOKすると決めればいいんですよ。