2011年1月21日(金)「しんぶん赤旗」

水俣病被害者への生活保護 なぜ打ち切る

鹿児島・出水 撤回求め審査請求


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(写真)県に審査請求書を手渡す竹添榮さん(右)=20日、鹿児島県庁

 水俣病特別措置法に基づいて加害企業チッソから一時金210万円を受けたことを理由に生活保護を打ち切られた鹿児島県の男性が20日、伊藤祐一郎知事に対して打ち切りは不当として審査請求をしました。

 請求したのは、出水市上鯖渕在住で水俣病被害者の竹添榮さん(73)。竹添さんは昨年11月11日、市役所の指示に基づき一時金が入金されたことを出水市に連絡。市は12月1日から保護を打ち切りました。同様に県内で生活保護を打ち切られたのは、出水市、長島町、阿久根市の合わせて19世帯、21人となっています。(20日現在)

 記者会見で竹添さんは「小さいころから耳が不自由で水俣病の症状に苦しんだ。現在は心臓病、高血圧、糖尿病、足のしびれがある。なぜ生活保護を打ち切るのか」と涙声で語りました。

 審査請求に同行した「鹿児島県生活と健康を守る会連合会」の祝迫加津子会長、日本共産党の中嶋敏子・出水市議らは、県社会福祉課の久保義弘課長補佐に、「一時金は水俣病被害者が被った身体的、精神的苦痛に対する慰謝料です」と指摘。それを収入とみなし、生活保護を打ち切る行為は、「特別措置法の趣旨にも反する差別的な扱いであり許されない」とのべました。

 久保氏は「出水市の判断が国の基準に基づいて適切に行われているか審査したい」と答えました。


 水俣病特別措置法に基づく一時金 被害者救済の一環で、210万円を支給するものです。対象は、1969年11月以前の生まれで、熊本、鹿児島、新潟各県のメチル水銀汚染が濃厚とされた地域に居住し、魚介類を多食したと認められ、感覚障害を有する人。加害企業のチッソ(新潟県は昭和電工)が負担し、救済要件に該当するかについては、各県が設置する判定検討会が判定するとしています。





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