2011年1月20日(木)「しんぶん赤旗」

「綱領教室」 志位委員長の第2回講義


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(写真)綱領の講義を聞く連続教室参加者=18日、党本部

戦前の日本社会

侵略と支配 息のむ

 「綱領教室」第2回講義で志位委員長は冒頭、受講者が2万5000人に達し、党の発展を中長期的に展望した一大事業として成功させるため、「一大覚悟」を持ってあたりたいと決意を表明しました。

 第1章「戦前の日本社会と日本共産党」の内容に入り、戦前の社会の特徴を、大日本帝国憲法の条文を示して、立法、行政、司法の全権限が天皇に属し、陸海軍の指揮権、戦争と条約の権限など、「広大な大権」を天皇がもっていた仕組みを解説しました。

 国民の精神生活をがんじがらめに支配した「軍人勅諭」と「教育勅語」には、若い人から「驚いた」という感想が集中しました。

 引き込まれて聞いたという岩手県の35歳の女性は「“人間の命は鳥の羽根より軽い”なんて信じられない。思っていた以上にひどかったと感じました」とのべています。

 志位さんは「教育勅語」では“ひとたび重大事態があれば、天皇のために命を投げ出せ”が殺し文句だったと語りました。

 父から聞いた、教育勅語を校長が読み終わると、頭を下げて聞いていた子どもたちがいっせいにズルズルと鼻水をすすりあげたという話には、笑いが起きました。

○○○

 侵略戦争と植民地支配の歴史では明治以降の略年表を示して話しました。一連の侵略戦争の起点として、日清戦争、日露戦争が一大画期になるとし、1945年の敗戦までを、いわば「50年戦争」ともいうべき連続した侵略戦争の歴史としてとらえられると説明。「国家と国家」の戦争とともに、他国の人民の抵抗、革命運動を抑圧する戦争が無数にあったことをあげ、「その全体をとらえてこそ、侵略戦争の全体像を立体的につかむことができる」と力説しました。

 NHKでTVドラマ化された作家の司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』について、志位さんは、この小説で日清・日露の戦争の本当の姿がわかるのかと問いかけました。

 「小説に書かれていないことこそ問題だ」として、日清戦争直前の朝鮮王宮軍事占領事件と、日清戦争直後の朝鮮王妃暗殺事件、日露戦争と一体に進められた韓国の植民地化の事実を詳しくのべました。

 「満州事変」(1931年)から始まった15年戦争については、中国侵略からアジア・太平洋戦争へと突き進んでいったことを、外務省が編さんした分厚い『日本外交年表並(ならびに)主要文書』を手にかざして解説。地図を示し、「15年戦争の全体が侵略戦争だったことは、日本政府の公式文書によっても証明されている」と強調しました。

 長野で視聴していた29歳の男性は「過去の戦争を美化する勢力とも十分にやりあえる知識が得られた。『正しい戦争など無かった』と胸を張って主張できます」と感想を寄せました。

○○○

 韓国・朝鮮の植民地支配と民衆のたたかいの歴史を、5年前に韓国を訪問した体験を交えて語りかけました。

 「命令に従わないものを拘束、拷問、虐殺した。男子を殺すときは十字架を立て首をかけ、婦人を殺すときはその首を路上にかけて衆目にさらした」と軍事支配の実情を話すと、会場は息をのんで聞き入りました。

 植民地支配が今日に残す問題として、「なぜ朝鮮半島が南北に分断されたのか」「なぜ韓国では軍事独裁政権が1987年まで続き、北朝鮮でも今日のような政権が続いているのか」と問いかけ、「日本の植民地支配とのかかわりという歴史的視野も必要ではないか」と提起しました。

○○○

党の不屈の闘争

勇敢で柔軟 すごい

 つづいて、党の不屈の闘争について語りました。

 日本共産党と中国共産党が共同して反戦運動を呼びかけた「満州事変」勃発の翌々日付の文書のコピー、各地の兵営や軍艦のなかに党組織をつくって配布した「兵士の友」の現物を示して、先輩たちの勇敢なたたかいや、東京の地下鉄労働者の柔軟で創意にあふれたストライキ闘争の話に、目を輝かせて聞き入る青年たちの姿が見られました。

 奈良県の29歳の男性は「兵士も一人の人間として、下級兵士の目線で『赤旗』(せっき)が書かれていたと知り、驚きました」と感想を寄せています。

 志位さんは、「戦前の不屈のたたかいがあったからこそ、戦後の平和と民主主義を、輸入品ではなく、日本国民の潮流の発展として意義づけることができる。アジア諸国民との心の通った友好の関係を築く上で、巨大な財産となって生きています」と講義を締めくくりました。

もっと学びたい

福島で青年が同時視聴

 約40人の視聴者が集まった福島市の党事務所では、第2回綱領教室を9人の青年が視聴しました。毎回、青年党員や民青同盟員など青年10人前後が「連続教室」をリアルタイムで視聴し、その直後に約1時間、感想交流と質問を出し合っています。

 戦前、生徒たちが教育勅語を頭を下げて聞いたあと、いっせいに「鼻水をズルズルとすいあげた」というくだりでは、会場がどっと沸きました。反戦の新聞「聳(そび)ゆるマスト」の配布の話には「すごいと思いません?」という言葉に、みんなで「うん、うん」とうなずく場面も。終了時には大きな拍手が起こりました。

 「教室」が終わると、青年たちは事務所内の別の会議室に移って感想を交流。福島県委員会の町田和史書記長、岩渕友学習教育部長も参加します。

 開口一番、「戦艦の中で『赤旗(せっき)をはやく読ませてくれ』という話にはビックリ。どれだけ情報がほしかったのか。いまは情報過多のなかで自分たちが選ばないといけない難しさも感じる」と民青同盟の八巻春奈県委員長が語りました。

 別な青年から「歴史というのは語る人によって変わると感じた」という感想が出て、それに対してまた別の青年が「でも真実は一つ。それを見抜く力をつけることが必要」とやり取りに。

 26歳の男性は、「おかしいと思ってもおかしいと言えない戦前の社会の怖さを感じたし、そういう中で反戦を主張した日本共産党ってスゴイ」と確信が深まったことを喜んでいました。

 「どんなに弾圧されようとも、国民のおかしいという思いを抑えきれはしないし、そこに寄りそい灯をともす日本共産党がある。当時もいまも同じだと思う」と岩渕部長も交流に参加。「おもしろい講座だったね」「もっと学びたい」とみんなでうなずきあいました。

 参加している27歳の女性は、「視聴後すぐに交流するので、記憶が鮮明なうちに深め合えるし、分からないこともすぐ聞けて、みんなにも好評です」と話しました。





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