2011年1月20日(木)「しんぶん赤旗」
チュニジア混乱
大統領・首相が離党
旧政権党への不信根強く
【カイロ=伴安弘】ベンアリ政権が崩壊し、新政権の樹立が発表されたチュニジアで18日、ベンアリ政権の与党・立憲民主連合(RCD)の党員が新政権の主要ポストを占めたことに抗議するデモが首都チュニスなど各地で行われました。この事態を受け、新政権に参加した野党と労組代表の4閣僚が辞任。メバザ暫定大統領とガンヌーシ首相がRCDを離党すると表明しました。
各地でデモ「新政権は見せかけ」
新内閣では外務、内務、国防、財務の主要ポストにベンアリ前政権時代と同じ人物が就きました。これに抗議するデモは、スファクス、レゲブ、カスリーヌに加えて、今回の政変のきっかけとなった青年の焼身自殺が起きたシディブジドにも広がりました。
報道によると、デモ参加者の1人は、「新政権は見せかけだけの政権だ。多くの生命と血を奪った革命に対する侮辱だ」と語りました。チュニスでは、警官隊が数百人のデモ隊を解散させようとして、催涙ガスを使用しました。
辞任したのは、チュニジア労働者総連合から入閣した3人と厚相のポストに就いた自由労働連合のベンジャファー氏。労働者総連合は18日、臨時の会議を開き、新政権を承認しないことを決めました。同連合は、ベンアリ政権崩壊を導いたデモで積極的な役割を果たしました。
一方、ガンヌーシ首相は、国民統一政府のすべての閣僚は汚職に関与しておらず、「手はきれいだ」と語り、デモの鎮静化をはかりました。
この日には20年以上フランスに亡命していた著名な政治家モンセフ・マルズーキ氏が帰国。チュニス空港で支持者の歓迎を受けました。同氏は非宗教政党、共和国会議の指導者で、次期大統領選への出馬を表明しています。