2011年1月19日(水)「しんぶん赤旗」
チュニジアに新政権
「政党・報道の自由保障」
主要閣僚は留任
【カイロ=伴安弘】ベンアリ政権の崩壊後、混乱が続くチュニジアで17日、同政権の首相だったガンヌーシ氏を首班とし、3野党が参加した国民統一政府が樹立されました。一方、ベンアリ政権与党が新政権の中枢にとどまることに反対するデモは続いており、今後の見通しは依然、不透明です。
ガンヌーシ首相は記者会見で、すべての政党の活動の自由の保障、「思想・信条、意見の違いを理由に投獄されていたすべての人の釈放」を明らかにし、報道の「全面的な自由」を保障するために情報省を廃止すると約束しました。
新内閣では外務、内務、国防、財務の主要閣僚がベンアリ前政権から横滑り。亡命した前大統領の与党、立憲民主連合が主要なポストを引き続き確保しました。野党からは革新連合・エタジディドの指導者アハメド・イブラヒム氏(高等教育相)、自由・労働連合のムスタファ・ベンジャファー氏(厚生相)、進歩民主党の創設者ナジブ・シェビー氏(地方開発相)の3人が入閣しました。
ガンヌーシ首相は、新内閣はベンアリ前大統領の独裁的な体制からの脱却をはかると表明。「すべての国民に平穏と安寧を取り戻す努力を強める。治安の回復と同時に、政治的・経済的改革が政府の優先課題だ」と述べました。
この日は、前日までのベンアリ政権支持グループと軍の銃撃戦は収まりましたが、首都チュニスではベンアリ前政権の与党・立憲民主連合の政権入りを認めるなと要求する約千人のデモが行われ、警官隊が催涙ガスや放水車による放水でデモ隊を追い散らしました。
フリア内相は同日、ベンアリ政権を倒した政変での死者の数について78人と発表しました。また催涙弾の直撃を受けたフランス人カメラマンの死亡が同日、確認されました。