2011年1月17日(月)「しんぶん赤旗」

主張

2011国民春闘

たたかいで「閉塞」感打破を


 政治、経済、社会にわたって日本を覆う深い「閉塞(へいそく)」感のなかで2011年の国民春闘がたたかわれます。

 人間社会の根幹である「働くこと」の危機は深刻です。一方に働きたくとも働けない労働者、他方に長時間過密労働と賃下げにあえぐ労働者―「仕事がほしい」「暮らしていけない」との悲鳴が上がり、消費縮小と経済危機の悪循環がつづいています。

賃上げ政策と一体で

 菅直人民主党政権は、大企業の国際競争力強化を口実とした法人税減税、食と農業を破壊する環太平洋連携協定(TPP)への参加、消費税増税、衆院比例定数削減に血道をあげ、マスメディアがそれをこぞってあおり立てています。あたかも日本には労働・雇用問題が存在しないかのようです。

 「あの政権交代はなんだったのか」「民主党政権に裏切られた」―生活の悪化に苦しむ国民の間で大きな怒りが広がっています。

 日本共産党の志位和夫委員長は、暮らしと経済の危機を打開するために、政治の責任で「ワンパッケージ」(一括)の賃上げ政策を実行することを提案しました。

 (1)労働者派遣法を抜本改正して非正規社員を正社員にする、(2)中小企業に手当てしながら最低賃金を時給1000円以上に引き上げる、(3)雇用の7割を抱える中小企業を本格的に支援して大企業との賃金格差をなくしていく、(4)日本航空のような無法解雇をやめさせて解雇規制のルールを強化する―という提案です。

 日本経済の最大の問題は、大企業が内部留保を244兆円もため込み、「カネ余り」になる一方で、労働者の年収が12年間で61万円も減り、家計・内需が低迷して経済成長が止まっていることです。90年代後半から賃金が伸びていないのは日本だけだというのは経済協力開発機構(OECD)の調査でも明らかです。賃上げ政策には道理があります。

 全労連(全国労働組合総連合)と国民春闘共闘委員会は、「すべての労働者の賃上げ・雇用確保を 実現しよう内需主導の景気回復」とたたかっています。

 雇用・労働条件とともに、国民各層の要求、国民的課題をかかげてたたかってきた国民春闘の歴史と伝統を受け継ぎ、労働・経済政策と政治の転換をめざすたたかいと一体ですべての労働者の賃上げと雇用確保を勝ち取っていくことが大切です。労働者が元気になり、日本経済が元気になり、地域経済と中小企業・農林漁業が元気になり、政治のゆがみを正すことが「閉塞状況」を打ち破るカギです。

「地域主権改革」と対決を

 今年はいっせい地方選挙の年です。住民の暮らしと福祉の破壊、地域経済と地域社会の疲弊のもとで、追い打ちをかける民主党政権の「地域主権改革」、地方自治破壊にたいして地域から対決することも、11春闘の大きな課題です。

 全労連と春闘共闘は、地域総行動や討論集会など「地域春闘」の豊富な経験を重ね、上部団体の違いや有無を超えて共同を広げてきました。公契約条例の実現やTPP問題など、国民各層との共同の条件も広がっています。

 11国民春闘で、賃上げ・雇用確保とともに、地方でも国でも、労働と社会保障を最重視する政治をめざしていきましょう。





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