2011年1月16日(日)「しんぶん赤旗」

どこから見ても消費税増税シフト

菅首相 色なして反論したが…


 菅直人首相は14日の改造内閣発足後の記者会見で、「消費税率引き上げに向けた布陣がしかれた」との質問に対し、「非常に誤解を生むような質問だ」「フェアではない」などと色をなして反論しました。よほど痛いところをつかれていたのでしょうか。

 首相がどう反論しようと、今回の改造が消費税増税と環太平洋連携協定(TPP)参加を目指す布陣であることは明々白々。首相発言に理解を示したのは、「朝日」社説くらいです。同紙社説は「国の懐が苦しいという言い方では消費増税に理解を得られないと学んだのだろう」としています。要は国民をごまかす理屈を丁寧にということでしょう。

 しかし一方で菅首相は、名うての消費税増税論者である与謝野馨元財務相を経済財政相に起用したことについて「この内閣改造のひとつの大きな表れ、性格の表れだと受け止めていただきたい」と説明しました。

 その与謝野氏が「消費税率の引き上げなしに財政再建が可能であるという幻想を振りまくのは、無責任極まりない」(『文芸春秋』10年5月号)と語っていた一事をとっても布陣の狙いは明らかです。

 同じ記者会見で菅首相は与謝野氏について、自公政権の安心社会実現会議の中心人物と説明し、「共通性の高い政策を持っている」と述べました。

 与謝野氏が中心となってまとめた同会議の報告は「消費税を含む税制改革への行程を示す必要がある」として増税を求めています。

 それだけではありません。昨年12月14日に菅内閣が閣議決定した社会保障改革の基本方針では、二つの文書で税と社会保障の改革の基本的方向が示されているとしています。

 ひとつは、民主党の税と社会保障の抜本改革調査会がまとめた「中間整理」。社会保障の財源について「消費税は非常に重要である」「消費税を含む抜本改革に政府は一刻も早く着手すべきである」としています。この調査会の会長は、今回の改造で官房副長官に起用された藤井裕久元財務相です。

 もうひとつは、菅首相が開催する社会保障改革に関する有識者検討会の報告。安心社会実現会議の議論について蓄積を尊重しつつ、発展させていく必要があるとしながら、社会保障の財源について「消費税を基本に考えていくべきである」と結論付けています。

 安心社会実現会議、民主党の税と社会保障の抜本改革調査会、社会保障改革に関する有識者検討会。そこに絡む菅首相、与謝野経済財政相、藤井官房副長官の3人の元財務相。それぞれのピースを組み合わせ完成するパズルをみれば、“消費税増税シフト”が内閣の本性であることは明りょうです。(藤川良太)





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