2011年1月16日(日)「しんぶん赤旗」
生命保険不払い 不満の声
説明不足 ノルマ優先
生命保険業界の保険金不払い問題を追及する本紙報道に反響が続々と寄せられています。その多くは、保険会社の不誠実な対応や納得のいかない支払いへの怒りと不満の声です。(生命保険「不正」取材班)
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白内障はダメ
川崎市在住の鈴木実さん(76)は、2009年9月に白内障の手術をすることになり、加入していた大手生保会社の本社を訪ね、入院保険の請求書類を窓口で求めました。ところが、「白内障は病気ではないからお金は出ません」と支払いを拒否されました。鈴木さんはそんなバカなことがあるかと怒り、その場で解約したといいます。
鈴木さんは加入していた保険が、病気の実態に即していないことにも不満があります。最近の契約では1日の入院でも給付金がおりるのが普通ですが、鈴木さんが三十数年前に加入した保険の契約では、20日以上の入院しか出ないとなっていました。「現代の発達した医療の水準で、20日も入院しなければならない病気はあまりない。それにもかかわらず、契約どおりだからと押し通すのはいかがなものか」と鈴木さんは疑問を呈します。
祝金もらえず
神戸市の男性は保険加入の際、特約で「長寿祝金」が5年ごとに5万円ずつ、80歳までもらえると言われたといいます。ところが、振り込まれたのは65歳のとき1回きりでした。よく聞けば、保険会社の業績次第によって出るときと出ないときがあるとする契約だったというのです。男性は、加入のときに詳しい説明はされず、そのような仕組みだとは知りませんでした。
あてが外れた
埼玉県の男性は2009年11月、運転中にトラックに追突され、ムチ打ち症になりました。通院治療を続けましたが、後遺症のため仕事も失うことになりました。
この男性は、治療費や休業手当などが補償される保険に加入していたので、それをあてにしていました。ところが保険会社に支払いを申請すると、思っていたよりはるかに少ない50万円程度しか出ないと伝えられます。納得がいかないと抗議したところ、保険会社からの連絡が途切れてしまったといいます。男性は「このまま不払いになるのでは」と不安を訴えます。
社員も悲鳴
保険会社の社員からも「保険契約のノルマを押し付けられ、お客にていねいな保険内容の説明をするより、とにかく契約を取れとプレッシャーをかけられる」(大手生保会社の女性営業職)など、契約者より利益優先の実態が訴えられています。