2011年1月13日(木)「しんぶん赤旗」
「古典教室」 不破社研所長の第2回講義
全国の受講者といっしょに1年間の教室をつくる
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「古典教室」第2回講義で不破さんはまず、前回の講義のあとに966通の感想文が寄せられたことを紹介しました。マルクス、エンゲルスに初めて触れた人や何十年ぶりに読む人が多く、その人たちが1年間学習する「覚悟」を決めていることがわかり、「私の方も『覚悟』を決めました」と笑いを誘い、「講義に工夫を加えたい」と語りました。
前回出された質問のなかから、「介護の仕事は価値を生まない」という悩みに答えて、「価値」という言葉の本来の意味について解き明かしました。商品の売り買いの基準となる経済学上の「価値」と、社会的に役に立つ「価値」とはまったく別のものであることを具体例をあげて説明しました。
また、経済学は何階建てかの建物のようなものだから、土台をきちっと押さえることが大切で、「あまりせっかちにならないように」とアドバイスしました。
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青森で講義を視聴した男性は「不破さんの『覚悟』の話に感動しました。全国からの感想文を受け止めて講義を発展させるという一体感、いっしょに1年間の講義をつくっていくという大事業の意味も受け止め直しました」と感想を寄せています。
本部会場で聞いていた37歳の男性は「私も“価値を生まない”介護の仕事ですが、きょうの話にほっとしました。今回の学習を生かしていきたい」と語りました。
この日のテキストは、マルクスがインタナショナル(国際労働者協会)で報告した「賃金、価格および利潤」のつづきで、搾取の本質を理解するカギとなる第7章の「労働力」から第11章「剰余価値が分解する種々の部分」までです。持っているテキストの違いに配慮し、段落ごとに番号をつけたり、わかりにくい貨幣単位を日本の円に換算したりするなど、工夫をこらしました。
不破さんは、搾取の秘密を解き明かすために、労働者が資本家に売っているのは労働でなく「労働力」であることや、なぜ利潤が生まれるか、マルクスの解明したポイントを説明しました。「『労働力』を売る人びとの集団がどうして生まれたのか」を話したときに、日本では明治維新のあと政府が労働力をつくるために地租をとって農民を無理やり追い出し労働者を創出したことを、野呂栄太郎(戦前の日本共産党幹部)が『日本資本主義発達史』で究明していたと紹介しました。戦後の「高度経済成長」でも、「集団就職」など農村の労働力を都会に「流動化」させた政策があったと述べ、「労働力」を売る人の集団が生まれる実例を示しました。
無償労働が一目りょう然のヨーロッパの農奴の話に及んださい、生前付き合いのあった作家、水上勉氏の歴史小説『城』を取り上げ、日本では年貢によって農民がいかに搾取されていたかを紹介しました。
不破さんは、第11章に出てくる「税金徴収者」という言葉に着目して解説しました。法人税、消費税、所得税など剰余価値によって国家予算がほとんど形成されていることや、会社の経費の乱用、政治献金の原資、国家の浪費にまで話が及びました。
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「剰余価値の生産」を説明したときには、資本家が剰余価値を増やす三つの方法を図解でわかりやすく示して解説しました。1970年代に当時の松下電器が労働密度を上げて、労働者の頸肩腕(けいけんわん)症候群を頻発させた実態を国会で告発したことがあると述べ、「資本家はいろんな手口でもうけを増やします。いま会社でどういうやり方をしているか、この図を思い出して見抜いてほしい」と語りました。
58歳の女性は「搾取の仕組みがわかり、いかに自分が働くことに懸命で、働き方や経済の仕組みに無頓着であったかを思い知らされました。今後の講義がとても楽しみで興味深いものになりました。1年間ガンバローと思います」と感想を寄せました。