2011年1月12日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 漫画の悩める英雄の主人公が現実によみがえったかのようです。全国に広がる慈善の輪は、「タイガーマスク運動」とよんでもいいでしょう▼「タイガーマスク」の主人公、伊達直人をなのる人が、児童養護施設や児童相談所の前に、ランドセルや文房具、野菜などを置いてゆく。三重の伊達直人がのこした手紙には、「子どもは国の宝です」。広島の伊達直人は、「ピカドンの母」の別名を添えていました▼伊達直人は孤児です。「あしたのジョー」の矢吹丈も孤児。続けとばかり、兵庫では「矢吹丈」からランドセルが届きました。「タイガーマスク」については、苦悩する姿を記憶している人が多いはずです▼孤児を悪役レスラーに育てる「虎の穴」に誘われ、プロレスの世界に入って孤児の施設に寄付する伊達直人。孤児なら誰でも助けたい伊達直人と、弱者を切り捨て勝者を育てる「虎の穴」との対立。「虎の穴」が伊達を葬ろうとリングに繰り出してくる残虐な相手に対し、試合ルールを守るか破るか迷うタイガーマスク…▼伊達直人の名で寄付する人も、彼の仮面の下の苦しみを胸に刻んでいるのかもしれません。いま児童養護施設に入っている子どもは3万人あまり。孤児よりも、虐待などで親と暮らせない子が多い▼一方、児童相談所への養護相談は年間8万7千件を超えます(09年)。親の家出や死亡、離婚。虐待や子育て放棄。世間には、寒波のもとで善意の火をともす「伊達直人」と「菅直人」を比べる人も現れています。





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