2011年1月12日(水)「しんぶん赤旗」
B型肝炎全員救済に道
札幌地裁が和解案を提示
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集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染したとして、被害者らが国に損害賠償を求めているB型肝炎訴訟の和解協議が11日、札幌地裁で行われました。石橋俊一裁判長は、国が持続感染者(未発症キャリアー)に50万円の一時金を支払うなどの基本合意案(和解案)を原告と被告の双方に示しました。
和解案には、死亡、肝がん、重度の肝硬変に3600万円、軽度の肝硬変に2500万円、慢性肝炎に1250万円の和解金の支払いを盛り込みました。
予防接種を受けた事実の証明方法に関しては、母子手帳のない原告については、接種場所などを説明した本人や親族の陳述書でも認めるとしています。
全国訴訟原告団・弁護団は裁判所の提案について、「キャリアーの救済内容は十分と言えないが、発症した場合の救済が確保されている」と一定評価。認定要件については「母子手帳や接種台帳、接種痕がない被害者にも救済の道が開かれ、被害者全員救済につながる」としています。
全国原告団の谷口三枝子代表は「一定の評価はできるが、複雑な気持ち。キャリアーについて、もうちょっと考えてほしかった」と話しました。
原告団・弁護団は「国に対して一日も早い全面解決のための政治決断を求めつつ、速やかな意見集約をはかりたい」との声明を発表しました。次回の和解協議は2月15日に行われます。
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