2011年1月9日(日)「しんぶん赤旗」

ハイチ震災から1年

220万人コレラ感染の危機

子ども38万人なお収容所


 国連児童基金(ユニセフ)は7日、30万人の死者を出したハイチ大震災1周年(12日)を前に、報告書「ハイチの子どもたち 救援から復興への長い道」を発表、38万人の子どもを含む100万人以上の人々が国内外の救援にもかかわらず、いまだに過密な収容所で生活していることを明らかにしました。(夏目雅至)


 報告書によると、今回の地震では、子ども150万人、妊婦6万3000人が被災しました。同国では、昨年10月末からコレラの流行が発生。ハイチ衛生省の統計によると、昨年12月29日現在で15万7000人が発病、死者は3481人に達しました。報告発表に当たってジュネーブで行われた記者会見では、国連人道問題調整事務所(OCHA)から、学校で清潔な水や衛生的なトイレが利用できない子ども220万人がなお、感染の危機にさらされていることも明らかにされました。

 ハイチは西半球で唯一の後発開発途上国(LDC)。ユニセフ報告によると、ハイチの清潔な水、衛生施設、衛生状態は地震前にすでに悪化の傾向をたどっていました。国連ミレニアム開発目標(MDG)でも指標として使われている「基本的な衛生施設(トイレ)を利用できる人々の割合」は、1990年の29%から2006年には19%にまで後退していました。

 報告によると、被災民は全国の1200カ所に収容されています。ユニセフは関連国連機関、非政府組織(NGO)との共同事業で、120万人の人々に安全で清潔な水を供給する一方で、80万人以上を対象に1万1300カ所の仮設トイレを建設、衛生状態を保つために毎日600カ所以上の仮設トイレからのし尿処理を続けています。

 また、ハイチ全国の2000の学校で「みんなが学校に」のキャンペーンを展開。72万人の子どもに支援を行い、教師1500人に教材や訓練を提供しました。

 このほか、ユニセフと世界保健機関(WHO)は関係機関との協力で、ポリオ、ジフテリア、はしかなどの予防接種を200万人の子どもを対象に実施。南部の海岸地域ではマラリア予防のため16万3000世帯に防虫処理をした蚊帳約36万張を供給しています。





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