2011年1月8日(土)「しんぶん赤旗」

米原潜 日本寄港61回

2010年 過去2番目 高水準

目立つ大型の新鋭艦


 米原子力潜水艦の日本寄港が、2010年の1年間で18隻61回に上ったことが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました。隻数は09年比で1増、回数は2増。年間寄港回数が64回と過去最高だった1997年に次ぐ高水準で、寄港日数は延べ197日間です。ここ3年は高水準で推移しており、日本周辺での米原潜の活動が活発化していることがうかがえます。


 寄港地別の回数は、沖縄県のホワイトビーチ(うるま市)が31回(前年比1減)、神奈川県の横須賀基地が20回(同3増)、長崎県の佐世保基地が10回(前年同)です。

 昨年の特徴は、退役が進むロサンゼルス級攻撃型原潜の後継艦であるバージニア級、シーウルフ級および超大型のオハイオ級誘導ミサイル原潜の寄港が目立ったことです。

長期的な寄港にらみ

 9月3日には、04年に配備された最新鋭艦のバージニア級原潜ハワイが横須賀に寄港しました。同級原潜の日本入港は初めてです。対地攻撃用巡航ミサイル・トマホークの搭載や沿岸での作戦を想定した特殊部隊の搭乗が可能です。

 バージニア級・シーウルフ級ともにロサンゼルス級より大型です。このため、横須賀ではこれまで原潜用の13号バースに接岸できず、原子力空母用の12号バースを使用していました。しかし、空母の寄港中は12号バースに接岸できません。

 このため、米政府予算で13号バースを浚渫(しゅんせつ)し、大型の最新鋭原潜の接岸を可能にしました。ロサンゼルス級退役後も長期にわたる原潜寄港を続ける狙いです。

どうなる核持ち込み

 一方、日本に寄港する原潜の大多数は依然としてロサンゼルス級です。同級原潜は核トマホーク搭載能力を持っています。

 米政府は2010年版核態勢見直し(NPR)で、核トマホークの退役を発表。外務省は、「現時点では核搭載艦船の日本寄港はない」との見解を示しました。

 しかし、NPRがうたう核トマホークの退役に、期限は明記されていません。米国防総省当局者は「2〜3年かかる」としており、少なくともその間は、核持ち込みの危険が続くことになります。

 外務省は昨年3月、日米密約に関する「有識者委員会」の報告書を公表しました。このなかで、核持ち込みに関する日米の秘密条約である「討論記録」の存在を認めながら、これを密約と認定しないとの結論を示しました。さらに日本政府は、米国の「核抑止力」に依存する姿勢をまったく変えていません。

密約認め廃棄求める

 そのような姿勢でいる限り、NPRの決定通りに核トマホークが退役したとしても、米国の核戦略いかんではいつでも核持ち込みは復活できます。「討論記録」を密約と認め、これを廃棄することが求められます。

グラフ

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