2011年1月8日(土)「しんぶん赤旗」
構造改革特区推進本部
知事会の保育切り下げ提案
厚労省に再検討要求
全国知事会が「構造改革特別区域(特区)」制度を使って保育の最低基準引き下げをねらっている問題で、政府の構造改革特別区域推進本部は6日、全国知事会の「構造改革特区の共同提案」(昨年11月)について、同提案に対応できないとした厚生労働省に対し再検討するよう要請しました。
全国知事会が「共同提案」で求めたのは、現在国が定めている保育所の人員配置・面積などの最低基準や、家庭的保育事業(保育ママ)の面積・保育士配置の基準を、市町村が独自に決められるようにすることや、私立保育所における3歳未満児への給食の外部搬入を容認することです。
これについて厚労省は昨年12月17日、「基準を適切に定めることにより、子どもの健やかな育ちを保障することが重要」などとし、いずれの提案についても「構造改革特区として対応不可」と回答しました。
これに対し、提案した都道府県が「基準には合理的根拠がない」などとする意見を提出したのを受け、構造改革特別区域推進本部が再度厚労省に検討を要請したものです。
同推進本部は3月をめどに最終的な結論を出すとしています。
各都道府県の連絡会組織や保育士の労働組合などの全国団体で構成する全国保育団体連絡会(全保連)の実方伸子事務局長は、「国の基準を上回る保育の実施は現行でも自由に行えます。知事会の提案は、そもそも低い国の最低基準をさらに引き下げることをねらうものです」と指摘。「同提案が認められてしまえば、保育所の地域間格差がさらに広がります。給食の外部搬入では、子どもに冷たい給食を食べさせることになりかねず、一人ひとりにあわせた対応も困難で、子どもの発達に悪影響です」と批判しています。
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