2011年1月7日(金)「しんぶん赤旗」
アーバンエステート住宅販売
被害の実態解明と回復を
代金の前払い勧誘/法律の不備
埼玉県川口市の注文住宅販売会社「アーバンエステート」が経営破綻を隠して住宅を販売し、前払い金などをだまし取ったとして同社の永井昭四郎元会長(61)らが詐欺容疑で逮捕されたことを受け、「アーバンエステート被害対策弁護団」は6日、さいたま市で記者会見しました。弁護団は、深刻な被害実態を告発し、救済を求める声明を発表しました。
弁護団が会見
「実質的な被害総額は27億円。アーバンには見るべき財産が残っておらず、取り返すのは簡単ではない。施主からの代金は、ほぼ全額が着工前に支払われていた」。弁護団は、住宅建設では工事の進行に応じて代金を分割して支払う通例に反して、同社が施主に代金を割り引くと持ちかけて住宅完成前の早期支払いを勧誘し、膨大な被害を広げたことを告発しました。
弁護団副団長の松苗弘幸弁護士は「広告で施主と代金を集め、それを建設費以外(使途不明)に使ってしまった。次の施主の前払いがないと建設できないという自転車操業をしていた」と指摘。同事務局長の久保田和志弁護士は「同社は銀行から借り入れを断られる状況になり、特に2008年ごろからますます施主への代金前払い勧誘を加速していった」とのべました。
同団長の神田雅道弁護士は「完成していない建物に関する被害、着工前に代金を払わせてだまし取るといった被害を法律が想定していない」と、法律の不備を指摘しました。
同社は経営破綻状態に陥った08年12月以降も施主への早期支払い勧誘を続け、09年4月に倒産。代金を支払ったにもかかわらず完成していない住宅は500戸に上りました。被害者のうち24人は同年7月、総額2億2千万円の損害賠償を求めて同社の旧経営陣らを提訴しています。
声明は、「今後の捜査で、割り引きなどのメリットのみを強調し、リスクがないかのような説明による早期入金勧誘がいかに不当・不法なものであったか、その実態の解明と被害者の真の被害回復につながることを期待しています」としています。
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