2011年1月7日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
きょうは七草です。七草がゆを食べ、おせち料理でこきつかった胃をいたわります▼七草がゆの味つけは塩だけでしょうが、おせちの雑煮の場合はだしを忘れてはいけません。うまみを引き出すだし。転じて、自分の利益のために人や物事を利用する意味の言葉としても、用いられています▼「増税は 子どもと年寄り ダシにして」。消費税をなくす全国の会の「ノー消費税」1月号に載る、「増税ノー」かるたの一句です。社会保障の財源づくりに消費税増税を。年の初めから、政府・財界・新聞テレビ、声をそろえます▼政治家も報道人も、分かっているはずです。消費税を上げると、家計はもちろん国の経済が打撃を受ける、と。しかしいま、落ち着いて冷静に議論するのも許さないような、異常な増税大合唱です。消費税を上げれば日本の閉塞(へいそく)感をなくせる、といわんばかり▼社会保障のための増税なら、その見通しを語っていいはずです。先進国ではふつうの、医療費の窓口負担ゼロをめざす。国保料を下げる。日本だけの、25年も保険料を納めないと年金を受け取れないしくみをなくす。世界一高い学費を先進国並みにする…▼逆に老人への差別医療を残して子どもとお年寄りをだしに使って増税を説くようでは、社会保障のためと本気で考えているとは思えません。政治には、だしをとるように国の持てる力を引き出し人々の豊かさを増す役目もあります。財力を蓄える大企業や大金持ちに応分の負担を求めるのは、その一つです。