2011年1月6日(木)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
なんといっても、民主党と自民党の議員は多い。周辺にいる党や無所属の人をふくめ、けっこうな市場だ。新しい商売の相手になるかもしれない…▼名づけて、「再チャレンジ応援保険」。自民・民主を中心に、選挙に立候補する人に入ってもらい、落選すれば保険金がおりるようにする。ちょっくら勧誘に行ってくるか…と、社長みずから出かけて―▼これは架空の話ですが、第一生命の現社長は一昨年の総選挙の最中、全国をかけ巡り民主や自民などの候補の選挙区を訪れました。北海道から鹿児島まで28人。保険の勧誘ではなく、危険を感じている保険会社が自分の安全のために“保険”をかける行脚でした▼危険とは、生命保険の不払いに対する世間や政界からの風当たりです。不払いは、分かっているだけで37社135万件、約973億円。「自殺」と決めつけ保険金を払わない。払って当然の入院患者なのにみてみぬふりをする…▼保険会社は、隠し立てし、金融族の政治家にはパーティー券を買ってやったり高級料亭で接待したり。手心を加えてもらう工作は、功を奏しました。不払い額最多の第一生命も、確実とみられた「業務停止」を免れたのですから▼現社長の選挙区巡りは、「今後いっそうよろしく」と“保険”をかける選挙応援でした。背筋が冷たくなります。業界団体トップも兼ねる社長、いったい不払いをなくす気があるのやら。庶民にしてみれば、業界と癒着する議員を落選させることが、“保険”かもしれません。