2011年1月5日(水)「しんぶん赤旗」

分離独立の是非住民投票で問う

9日開始 スーダン南部

石油利権めぐり衝突再燃も


 アフリカ北東部のスーダン南部で、9日から15日まで、同地域の分離独立の是非を問う住民投票が行われます。2日の南部スーダン住民投票委員会の発表によると、国外在住者6万人、北部居住者11万6千人を含む390万人が有権者登録を済ませています。(夏目雅至)


 住民投票は20年余り続いた南北間の内戦を終結させた2005年1月の包括和平合意(CPA)履行の最終段階に当たります。

 しかし、南北間の係争地アビエイでは、同時に行われる予定だった同地の帰属をめぐる住民投票の実施が見送られました。また南北間の境界の2割が画定していません。西部ダルフールで続く紛争も影を落としています。

 スーダンは、アラブ系イスラム教徒を中心とする北部とキリスト教徒などの黒人を中心にした南部の複合国家。1983年に始まった南北間内戦は、北部を主体とする政権が南部にイスラム法支配を押し付けようとしたことが発端でした。

 南部のスーダン人民解放運動(SPLM)書記長のガラン氏は、「統一された民主スーダン」を構想していました。同氏はCPA成立後に発足した暫定統一政府第1副大統領に就任しますが、その直後の05年8月、ヘリ事故で死亡。さらに暫定統一政府を主導したバシル大統領の国民会議党(NC)が北部中心の政策を進めたことから、南部住民はこの5年間に分離独立の要求を強めてきました。

 SPLMは昨年12月初め、世論に押される形で独立支持を表明。SPLM書記長で南部自治政府閣僚のアムム氏は3日、「NCとの共同統治は南部住民には魅力的な統一をもたらさなかった」と語り、住民投票の平和的な実施を呼びかけました。

 住民投票で独立が選択された場合、7月1日までにアフリカ大陸に新しい独立国が誕生します。しかし、独立後の2国関係に関する南北委員会の交渉は足踏み状態です。

 スーダンの石油埋蔵量の8割は南部に所属します。その利権の分割、対外債務の分割、両国民の地位などをめぐり、再び軍事衝突が起きる可能性があると憂慮されています。





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